12月22日に大阪府でオミクロン株による市中感染例が見つかって以降、日本各地で市中感染例が報告されるようになってきました。
オミクロン株について現在わかっていること、今後どのようにしていけばよいか、現時点でわかっていることをまとめました。
・オミクロン株の感染状況は？
オミクロン株の感染者は世界中で拡大を続けています。
2021年12月28日時点で、既に110カ国以上でオミクロン株による感染者が報告されており、多くの国でデルタ株からオミクロン株に置きかわっていると言えます。
日本国内でも12月22日に大阪府内で国内感染例が確認されて以降、京都、東京と市中感染が少しずつ広がってきており、空港検疫での感染者数も合わせると既に300人以上の感染者数となっています。
・オミクロン株の特徴は？
オミクロン株はスパイクタンパク質に30か所程度の変異を有し、このうち15か所程度の変異は受容体結合部位に存在します。
その特徴として下記のようなものが挙げられます。
①感染力が強い
オミクロン株は非常に感染力が高く、これまでの変異株の中で最も感染力が強いという見解があります。その感染力は、デルタ株の3～4倍、またはそれ以上かもしれないという意見もあり、アメリカではわずか１ヶ月デルタ株からオミクロン株への置き換わりがおき、既にオミクロン株に置き換わっているイギリスでは１日あたりの新規感染者数が10万人を越えています。その他の国でも非常に速いスピードで感染が拡大しており、日本でも第６波はもはや避けられない状況かもしれません。
②感染様式はこれまでと変わらず
感染力が強いといったものの、感染様式が変わったり、著しく感染・伝搬性がかわっているといったことは言われていません。つまり、これまで通り、マスクの着用や、手指衛生、換気の徹底などの基本的で適切な感染対策が有用であると言えます。
③重症度はそこまで高くない？
多くの感染者が確認されているイギリスで重症化リスクを解析したところ、入院はデルタ株の0.4倍程度という結果がでております。世界で最初に流行が始まった南アフリカ共和国でも、オミクロン株感染者の入院リスクはデルタ株と比較して0.2倍、重症化リスクが0.3倍であったとのことです。
これらの結果から踏まえると、オミクロン株は従来に比べ重症度はそこまで高くないのかもしれません。しかし、まだ断定するにはデータが十分ではなく、更なる調査が必要です。
・オミクロン株にこれまでのワクチンの効果はあるの？
従来と同様、ワクチンを打っているからといって必ずしもオミクロン株に１００％感染しないとは残念ながら言えません。イギリスで行われた大規模調査では、ワクチン接種による感染予防効果は、デルタ株に比較して大きく下がるという結果も示されています。
一方で、重症予防効果については、２回のワクチン接種でも一定程度保たれるとされており、オミクロン株の重症度が現時点でそこまで高くないとされているのは、これまでのワクチン接種などによって得られた免疫の影響も大きいと言われています。ただ、重症予防効果についても高齢者においては、経時的に低下していることが分かっており、決して楽観視できない状況であります。
・これからどうしていけばいいの？
「感染力が強くてもワクチン接種していて重症化しないのであれば、あまり気にしなくていいんじゃないの？」というのは大きな間違いです。仮に重症化率がそこまで高くないとしても、絶対に重症化しないというわけではありませんし、感染者全体数が急激に増加していけば、その分重症化に至る患者数も増えていきます。第５波の時のように医療機関のひっ迫を起こさない為にも、これまで通りの手洗い・マスクの着用などの感染防御の徹底や、「密」を避けるということがとても重要になってくると言えます。
また、ワクチン３回目のブースター接種は再度発症予防効果及び重症化予防効果を高めることができるとされていますので、３回目のブースター接種をうちましょう。現在２回目の接種から６ヶ月以上経過した方は３回目の接種を受けられます（今後さらに間隔が短縮していく可能性もあります）。
オミクロン株もこれまでと同様、症状だけでは風邪との鑑別は困難です。さらに、軽症や無症状患者も多いことにも注意が必要です。ちょっとした風邪症状でも、コロナウイルス感染症である可能性を念頭に、外出を控えるといった行動をすることを心がけましょう。そして、少しでも疑わしければ積極的に医療機関を受診し、PCR検査を行いましょう。
クリニックプラス下北沢は、土日祝も毎日PCR検査を行っています。午前中に受診された方には、当日中に結果をお伝えすることも可能です。
自分がコロナウイルスに感染しているのではないか、ご不安な方はいつでもクリニックプラス下北沢を受診ください。
参考文献
UKHSA publications gateway number GOV-10645. SARS-CoV-2 variants of concern and variants under investigation in England: technical briefing 33
監修医
長谷 啓
慶應義塾大学医学部を卒業後、市中病院での初期・後期臨床研修を経て、慶應義塾大学医学部循環器内科に入局。心臓カテーテル班に所属し、カテーテル治療に4年間従事。その後、プライマリケアを修得するために市中病院やクリニックの総合内科・皮膚科・小児科にて外来診療の研鑽を積み、2021年5月クリニックプラス下北沢の院長に就任。クリニックプラス下北沢では年間約17,000名の診察を実施。専門性の高い循環器診療に加え、子供から大人まで幅広く総合内科・皮膚科としてのプライマリケアを提供。
執筆論文
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Transcatheter aortic valve replacement with Evolut R versus Sapien 3 in Japanese patients with a small aortic annulus: The OCEAN-TAVI registry
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Successful reatment using corticosteroids in early phase of eosinophilic myocarditis with eosinophilic granulomatosis with polyangiitis
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A Case with Intractable ST-Elevation Myocardial Infarction Complicated with Acute Stent Thrombosis
