コラム

高血圧のむくみはなぜ起きる?原因と対策について徹底解説!

  • 高血圧外来

高血圧症では、動脈硬化の進行により心臓病や腎臓病を引き起こし、むくみが生じることがあります。また、高血圧の治療薬の副作用でむくみが現れる場合もあります。むくみが生じた場合には、食生活の見直しや受診が必要です。この記事では高血圧で生じるむくみの原因、高血圧でむくむ時の対策について解説します。

高血圧で生じるむくみの原因

高血圧症では動脈硬化の進行による心臓病や腎臓病、治療薬の副作用でむくみが生じる場合があります。

1.合併症の進行

高血圧症では常に血管に高い圧力がかかっているため、その高圧に耐えるために血管壁が厚くなります。血管壁が厚くなることで弾力性が失われ、傷もつきやすくなります。この状態が動脈硬化です。動脈硬化が腎臓の血管で起こると腎硬化症を引き起こし、やがて腎臓の機能が低下し、慢性腎不全に至ります。腎臓の機能が低下すると、水分と塩分が腎臓から排泄されなくなり、体の中に水分が溜まってしまうことで、むくみの原因となります。また、動脈硬化が心臓の血管で起こると、狭心症や心筋梗塞を引き起こし、やがて心臓の機能が低下し、慢性心不全に至ります。心臓の機能が低下すると、心臓から十分な血液を送り出すことができなくなり、腎臓へ流れる血液量も減ってしまうことで、尿の量が減り、体の中に水分が溜まってしまうことで、むくみの原因となります。 

高血圧によるむくみがあらわれやすいのは足です。足のむくみは以下の症状から確認できます。

  • 夕方になると靴がきつくなる
  • 足が重くてだるい
  • 靴下のあとが残る
  • すねや足の甲を強く指で押すと、へこみが少しの間残る

むくみと一緒に、疲れやすい、息切れ、起坐呼吸(座っていた方が呼吸が楽になる)、咳が出るなどの症状がある場合には、心臓や腎臓の機能の低下に伴い、肺にも水がたまり、命の危険に晒されている可能性が高いため、速やかな医療機関への受診が必要です。

2.治療薬の副作用

高血圧の治療薬の一つである「Ca拮抗薬(カルシウム拮抗薬)」の中でも、特にアムロジピンという薬を使用することで、むくみが起こる場合があります。

Ca拮抗薬は、血管の筋肉にカルシウム(Ca)イオンが入るのを抑えることで、血管が収縮しにくくなり、結果的に血圧を下げる働きをします。この薬を服用すると、末梢の血管が広がりますが、静脈よりも動脈で強く効果が出るため、静脈と動脈の間に圧力の差が生じます。この圧の差が原因で毛細血管の圧力が高まり、血液の成分が血管の外に漏れてしまうことがあります。これが「むくみ」として現れるのです。

アムロジピンと同じように副作用でむくみが出やすいのが、甘草という生薬を含む漢方薬です。
この副作用は偽アルドステロン症と呼ばれ、実際には血圧上昇ホルモンのアルドステロンが増加していないのに、高血圧やむくみなどの症状が現れる状態のことを言います。

高血圧が原因でむくむときの対策

高血圧が原因でむくむときには、生活習慣の見直しや医療機関での受診が必要になります。

対策1.食生活の見直し

塩分摂取量が多いとむくんでしまうので、減塩します。日本をはじめとする各国のガイドラインでは、6g/日未満の食塩摂取量が望ましいとされています。
参考:厚生労働省|日本人の食事摂取基準(2020年版)「日本人の食事摂取基準」策定検討会報告書

減塩方法としてあげられるものは、以下のとおりです。

  • カリウムや食物繊維を多く含む食材を使う
  • 料理にはうま味や香味野菜を活用する

カリウムや食物繊維は塩分を排泄する働きを期待できます。生活習慣病予防を目標とした場合、成人のカリウム摂取目標量の目安は、男性 3,000mg、女性 2,600mgで、1食あたり約1,000mg前後です。
参考:厚生労働省|日本人の食事摂取基準(2020年版)「日本人の食事摂取基準」策定検討会報告書

かつおや昆布、煮干し、干し椎茸などから出るうまみ、生姜やにんにく、ねぎ、ミョウガなど香味野菜をうまく使うことで、塩分が少なくてもおいしさを損なわない食事ができます。また外食では、汁は全部飲まない、単品は避けるなど自分なりに工夫しましょう。

対策2.定期的な運動

日常的に運動を行うことで、血液やリンパの流れを促進し、むくみの予防に繋がります。高血圧治療ガイドラインではウォーキングやスロージョギング、ランニングなどの有酸素運動を1回10分以上、1日合計で40分以上することが推奨されています。
参考:日本高血圧学会|「高血圧治療ガイドライン2019」

家庭血圧が160/100mmHg以上の人や、糖尿病合併症・心疾患・脳血管疾患を有する人、高齢の人は、運動をすることがかえって危険な場合があります。事前に医師に相談して、無理のない適切な運動量を設定しましょう。

対策3.受診する

治療薬が原因の場合には、ほとんどの場合、中止することで改善します。薬の変更などの対応が必要なので、医師に相談してください。

また、以下のような人はむくみが出たら、速やかに医療機関を受診し、医師の診察を受けるようにしましょう。

  • 心疾患や生活習慣病(高血圧・脂質異常症・糖尿病)がある
  • ここ数日で急にむくみ始めた
  • むくみが全然改善しない
  • 動いた時に息切れがある

むくみは高血圧による心臓や腎臓の血管の病気を発見できる重要なサインの1つです。放置しておくと、命の危険に晒される場合もあるので、まずは医師に相談しましょう。

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