コラム

【糖尿病の薬の一覧表】副作用に対処するための5つのポイントを解説

  • 糖尿病外来

糖尿病の薬には経口薬と注射薬が存在し、それぞれ作用や副作用、特徴などが異なります。飲み方や注射のタイミングを間違えると思わぬ弊害が起きることがあるので、医師や看護師の指導を適切に受けなければなりません。

本記事では、糖尿病の治療薬の種類や作用、危険な副作用、副作用に対処するための5つのポイント、薬に関する疑問などについて解説します。

糖尿病治療の目的

糖尿病の治療目的は病状をコントロールして、糖尿病ではない人と同じ健康寿命を保つことです。自己免疫が原因と考えられている1型糖尿病と、遺伝や生活習慣が原因である2型糖尿病では治療方針に違いがあります。

2型糖尿病は、まず食事療法や運動療法などによる生活習慣の修正が必要です。生活習慣の修正により血糖値が改善できなければ、薬物療法を開始します。

1型糖尿病は、インスリン(血糖値を下げるホルモン)の分泌が不足する病型です。そのため、体の外からインスリンを補充する薬物療法を開始します。

糖尿病の治療薬の種類

糖尿病の薬は、病型や年齢、合併症の有無、血糖値、生活習慣などから選択され、病状によっては複数の種類を組み合わせて使います。下記のような薬の種類があります。

  • 膵臓(すいぞう)に作用してインスリンを出やすくする薬
  • インスリン抵抗性(効き目が悪くなっている状態)を改善する薬
  • 食べ物から得る糖の吸収をゆるやかにする、または糖を尿中に排出する薬
  • 注射薬(インスリン、GLP-1)
  • 配合薬(作用の違う薬を組み合わせた薬)

1型糖尿病は基本的にインスリン治療が中心ですが、SGLT2阻害薬(糖を尿中に排出する薬)を組み合わせることもあります。

【一覧表】血糖値を下げる経口薬の作用と副作用

ここでは、血糖値を下げる経口薬の詳細を解説します。飲むタイミングなどが決まっている薬もあるため、医師や看護師から適切な指導を受けましょう。

インスリンを出やすくする経口薬

インスリンを出やすくする経口薬の一覧は下記の通りです。

種類一般名作用副作用特徴
スルホニルウレア薬グリベンクラミド、グリクラジド、などインスリンの分泌を促す低血糖、体重増加などインスリンの分泌を促す作用が強い
速効型インスリン分泌促進薬ナテグリニド、レパグリニドなど速やかにインスリンの分泌を促す低血糖、胃腸の不快感など食後の高血糖に利用される
DPP-4阻害薬ビルダグリプチン、リナグリプチン、オマリグリプチンなどインスリンの分泌を促すホルモンが分解されるのを抑制する低血糖や便秘など単体で内服する場合は低血糖が起きる確率が低い。体重増加が起きる確率も低い
GLP-1受容体作動薬セマグルチドインスリンの分泌を促したり、血糖値を上げてしまうホルモンの分泌を抑えたりする食欲の低下、吐き気、下痢など単体で内服する場合は低血糖が起きる確率が低い。食欲を抑える効果がある。基礎代謝があがり脂肪の燃焼を促進する。
グリミン薬イメグリミン塩酸塩高血糖の際にインスリンの分泌を促したり、糖の代謝を改善したりする単体で内服する場合は低血糖が起きる確率が低い

インスリンの効き目をよくする経口薬

インスリンの効き目をよくする経口薬の一覧は下記の通りです。

種類一般名作用副作用特徴
ビグアナイド薬ブホルミン塩酸塩、メトホルミン塩酸塩など肝臓からの糖の分泌を抑えたり、インスリンの効き目をよくしたりする食欲の低下、吐き気、下痢、便秘など単体で内服する場合は低血糖になる確率が低い。体重が増加する確率が低い
チアゾリジン薬ピオグリタゾン塩酸塩インスリンの効き目をよくする体重増加、むくみなど単体で内服する際は低血糖になる確率が低い

前述したグリミン薬もインスリンの効き目をよくする効果をあわせ持つ経口薬の一つです。

糖の吸収と排出を調整する経口薬

糖の吸収と排出を調整する経口薬の一覧は下記の通りです。

種類一般名作用副作用特徴
α-グルコシダーゼ阻害薬アカルボース、ボグリボース、など小腸による糖の消化や吸収をゆるやかにして、食後の血糖値の上昇を抑えるお腹の張り、おならの回数の増加、下痢など単体で内服する際は低血糖になる確率が低い。体重増加が起きる確率が低い
SGLT2阻害薬トホグリフロジン水和物、ルセオグリフロジン水和物など腎臓で糖が吸収されるのを抑制して、尿の中へ糖の排出を促す低血糖、脱水、頻尿(ひんにょう:尿の回数が多くなる)、尿路感染(にょうろかんせん:尿が排出される通り道で感染症が起きる病気)など単体で内服する際は低血糖になる確率が低い

血糖値を下げる注射薬の種類と作用

ここからは、血糖値を下げる注射薬の詳細を解説します。

GLP-1受容体作動薬|インスリンを出やすくする

GLP-1受容体作動薬はインスリンの分泌を促進する薬で、注射薬も存在します。リラグルチドという薬が存在し、主な作用などは経口薬と同様です。

経口薬の場合は、1日のはじめの空腹状態で内服しますが、注射薬の場合は「1日1回」「1週間に1回」など投与方法に違いがあります。それぞれ病状により使い分けをします。

GIP/GLP-1受容体作動薬|強力な血糖降下作用

GLP-1に加えて、GIP(グルコース依存性インスリン分泌刺激ポリペプチド)受容体にも作用することで、より強力な血糖降下作用、食欲抑制効果、体重減少効果が期待できます。

インスリン製剤|インスリンを外から補う

インスリン製剤は、体の外からインスリンを補う注射薬です。「投与後すぐに効き、作用時間が短い薬」「投与後ゆっくり効き始め、1日中作用する薬」などさまざま種類があります。

種類によって「注射後30分以内に食事を取らなければならない」「よく振ってから投与する」などの注意点があります。使い方を間違えると低血糖に陥りやすいため、医師や看護師の指導を適切に受けましょう。

糖尿病の治療薬の副作用

糖尿病の治療薬の副作用で特に注意すべきは低血糖です。低血糖とは、体に必要な糖が足りなくなりさまざまな症状を引き起こしている状態です。適切に対処しなければ危険な状態になる可能性もあります。

血糖値ごとに見られる症状は下記の通りです。

血糖値症状
約70mg/dl以下・手足がふるえる
・汗をかく
・不安な気持ちになる
・脈がはやくなる
・顔色が悪くなる
50mg/dl程度・頭痛がする
・目がかすむ
・集中ができない
・あくびが頻繁にでる
50mg/dl以下・異常な行動をする
・けいれんをする
・意識を失う

患者さんの中には、低血糖が起きやすい人や症状を自覚しづらい人などがいます。適切に薬を使用するのはもちろんですが、普段からの血糖値のチェックや症状の有無を医師や看護師に報告しておくことも大切です。

糖尿病の薬の副作用に対処するための5つのポイント

糖尿病の薬の副作用に対処するための5つのポイントは下記の通りです。

  1. ブドウ糖を持ち歩く
  2. 自己判断で薬を減量・変更はしない
  3. シックデイルールを身に付ける
  4. 飲み合わせに注意する
  5. 事前に周囲の人に知らせておく

それぞれの詳細を解説します。

1.ブドウ糖を持ち歩く

低血糖が現れたら糖分を補充しなければなりません。そのため、ブドウ糖を持ち歩くことをお勧めします。疑われる症状が見られたら、可能であれば血糖値を測定して、低血糖であればまずブドウ糖10gを内服する必要があります。

測定ができない場合は、ブドウ糖10gを摂取してしまってかまいません。最近は、ドラッグストアでブドウ糖のタブレットを購入できます。ない場合は個包装のラムネが便利です。コーラなどのブドウ糖を含むジュースを150m〜200ml飲むことも有効です。

2.自己判断で薬を減量・変更はしない

自己判断で薬を減量・変更してはいけません。糖尿病の経口薬や注射薬は食前や食後などタイミングが決まっているものがあるためです。

タイミングを変えると思わぬ副作用が起きることもあります。副作用が起きたとき、薬はどうすれば良いか事前に医師に確認しておきましょう。

3.シックデイルールを身に付ける

シックデイとは、糖尿病の方が風邪などにより体調を崩して、血糖値が乱れやすくなっている状態です。シックデイの際は適切な対処(シックデイルール)が必要です。

下記に基本的なシックデイルールを記載します。

  • 安静にして体を温める
  • 十分な水分と炭水化物(おかゆなど)をとる
  • 薬は自己判断で中断しない
  • こまめに血糖値と症状をメモしておく

シックデイが起きた際の対応や内服方法は病状により異なるため、医師と相談してあらかじめ決めておく必要があります。緊急の際は医師に電話相談しましょう。

4.飲み合わせに注意する

糖尿病の経口薬は、市販の薬との併用に注意する必要があります。下記のような薬を飲んでいる場合は、医師に確認しましょう。

  • 総合風邪薬
  • 鼻炎薬
  • 漢方薬
  • 解熱鎮痛剤
  • 総合胃腸薬
  • 特定健康食品

5.事前に周囲の人に知らせておく

低血糖が起きると意識がもうろうとして、自分で対応ができない可能性があります。職場や家族など身近な人に対応方法を伝えておくことも大切です。

低血糖による意識消失が起きた際の対応方法は、下記のような内容を周囲に伝えましょう。

  • 窒息のリスクがあるため無理にブドウ糖を飲ませない
  • ブドウ糖や砂糖を溶かした水を唇と歯肉の間に塗りすぐに救急を呼ぶ

糖尿病患者であることを示す「緊急連絡用カード」も存在します。非会員の方でも日本糖尿病協会のホームページから入手可能です。

その他比較的多く見られる副作用としては、腹部膨満感、吐き気、便秘、下痢などの腹部症状です。この症状は、しばらく内服を続けていると症状が減少していく人がいます。腹部症状がつらく、内服できない場合は速やかに医師と相談しましょう。

糖尿病の薬に関する気になる疑問

ここでは「薬で痩せるのは本当? 」「薬をやめることができる血糖の数値は?」などの糖尿病の薬に関する疑問について解説します。

薬で痩せるのは本当? 

2型糖尿病の治療薬として承認されているGLP-1受容体作動薬は、食欲抑制効果や満腹感を持続させる効果があり、結果的に体重が減ることがあります。しかし、効果には個人差があり、確実に減量できる薬ではありません。また、GLP-1受容体作動薬は、糖尿病治療のための薬です。

ダイエット目的で利用すると思わぬ副作用を招く可能性があります。GLP-1受容体作動薬を処方された際は、医師や看護師から適切な指導を受けて使用しましょう。

薬をやめることができる血糖の数値は?

2型糖尿病は、血糖値やHbA1cが正常な数値まで改善している場合、薬物治療を中止し、食事、運動療法での治療が可能になることがあります。

薬を中止できた症例の多くは、早期から減量を含んだ生活習慣の修正に取り組み、改善した生活を継続できている方がほとんどです。

糖尿病が完治するわけではないため、薬を中断できても、再び生活習慣が乱れれば薬物療法を再開する場合もあります。どちらにせよ、早期から治療に取り組むことが大切です。

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