・弁膜症とは?
心臓には4つの部屋がありますが、各部屋には”弁”と呼ばれる構造物があります。“弁”が心臓の拍動に合わせて開いたり閉じたりすることで、血液が一方向に流れるようになっています。この”弁”が固くなって開きにくくなってしまったり、何らかの原因で閉じにくくなってしまったりすることで、心臓が血液を効率よく外に送り出せなくなってしまう病気を弁膜症と言います。心臓の各部屋に”弁”が付いているので、“弁”も4つあり、それぞれの弁で開きにくくなってしまうものと、閉じにくくなってしまうものの2種類の病態があるので、弁膜症には合計8種類あります。
◆大動脈弁狭窄症/大動脈弁逆流症
◆僧帽弁狭窄症/僧帽弁逆流症
◆三尖弁狭窄症/三尖弁逆流症
◆肺動脈弁狭窄症/肺動脈弁逆流症
これら弁膜症の原因として、生まれつきや遺伝的な要因もありますが、近年は加齢や動脈硬化が原因の場合が増えてきています。
・どんな症状がでますか?
弁膜症の方は下記のような症状がでることがあります。
◆息切れ
◆浮腫み
◆胸痛
◆失神
◆胸部不快感
弁膜症は軽度のものであれば症状が現れにくいことが多く、上記のような症状が現れた時にはすでに重症になっている場合もあります。特に大動脈弁狭窄症は、一般的な生命予後は、胸痛が現れると5年、失神が現れると3年、そして息切れなど心不全症状が現れた場合は2年といわれており、突然死の危険性も伴う怖い病気です。症状がなくても、他の病気の検査で偶然見つかることがありますので、定期的に検査でフォローアップしていくことも大切です。
・どんな検査を行いますか?
弁膜症の患者は聴診をすると分かります。弁膜症が疑われた場合、当院では以下のような検査を行います。
◆心電図検査
◆採血検査
◆心エコー検査
弁膜症の診断で最も重要な検査は心エコー検査です。心エコー検査で、弁膜症の有無はもちろん、重症度をある程度評価することが可能です。
・どんな治療を行いますか?
弁膜症の治療選択肢として、下記のようなものがあります。
◆生活習慣の見直し(禁煙、食事など)
◆薬による治療
◆心臓カテーテル治療(TAVI、MitraClipなど)
◆外科手術
弁膜症も「軽症」・「中等症」の段階では、薬による管理である程度コントロールしていくことが可能ですが、「重症」に進行すると薬で反応しないことが多くなってきますので、その際はカテーテル治療や外科治療を検討する必要があります。当院は日本でもトップレベルの弁膜症治療を提供している慶應義塾大学病院と強いパイプがあり、最短ルートでご紹介することができます。
・弁膜症で来院された方の当院での診療の流れ(診察所要時間目安:7〜10分)
1. 問診
時系列にそって、どのような症状がいつから出現したかなど、診断・治療に必要な情報を集めるために、医師がいくつか質問します。(LINEの事前問診にお答えいただきますと、よりスムーズな診療を提供できますので、ご協力ください。)また、すでに弁膜症と診断されている方には、体重の著しい増加や心不全症状の増悪はないかなどを聞きます。
2. 身体診察
肺や心臓の音を聞いたり、足に浮腫がないか診察を行います。
3. 検査
診断がまたついていない場合は原因を調べるために、血液検査や心電図、心エコー検査等を行います。すでに弁膜症と診断されている方には、定期的に血液検査や心エコー検査を行い、弁膜症が増悪傾向にないかモニタリングします。
4. 生活指導および処方(中等症〜重症で、手術が必要な場合は、大きな病院を紹介)
症状が安定しているあるいは軽度であれば、薬の治療で様子をみます。また、水分や塩分の摂りすぎは、心不全症状の増悪の原因になります。日々の生活で、水分・塩分制限がしっかりできているか、生活指導も一緒に行なっていきます。弁膜症の重症度が中等症〜重症レベルの場合は、手術が必要になることがあります。当院は日本でもトップレベルの弁膜症治療を提供している慶應義塾大学病院と強いパイプがあり、最短ルートでご紹介いたします。