皮膚が原因物質に触れてアレルギー反応を起こし、赤くなったり、かゆみが出たりする症状を、アレルギー性接触皮膚炎といいます。
アレルギーの原因物質であるアレルゲンを特定することが、治療において最も重要です。
ここでは、アレルギー性接触皮膚炎の原因物質を特定するために使用する「パッチテスト」検査について解説していきます。
アレルギー性接触皮膚炎とは
アレルギー性接触皮膚炎では、アレルゲンが皮膚の内側に取り込まれてアレルギー反応を起こすことで症状が出ます。
主な症状は、皮膚の赤み・腫れ・かゆみ・水疱(すいほう)などで、数時間から数日以内に出現します。
接触皮膚炎は、主に刺激性とアレルギー性に分けられる
アレルギー性接触皮膚炎は、接触皮膚炎の一種です。
接触皮膚炎にはその他に、刺激性接触皮膚炎があります。
刺激性接触皮膚炎は、強い酸やアルカリなどの刺激性をもつ化学物質が皮膚に接触することで起こります。
基本的には刺激物に接触して、すぐに症状が出ますが、長時間接触することで症状が出る場合もあり、注意が必要です。
アレルギー性接触皮膚炎のような特定のアレルゲンに対する反応ではないので、誰にでも起こる可能性があります。
パッチテストとは
パッチテストは、アレルギー性接触皮膚炎を引き起こす可能性のあるアレルゲンを特定するために行う検査です。
24種類のアレルゲンが付着しているシートを皮膚に貼り、時間をかけて観察することで、どのアレルゲンがアレルギー反応を起こしているのか確認します。
パッチテストを皮膚科で受けるメリット
皮膚科で医師の診察を受けて必要と判断された場合、パッチテストが受けられます。
皮膚科でパッチテストを受けるメリットとして、
- アレルゲンの特定につながりやすい
- パッチテストの検査の細かい流れや注意点を説明してもらえる
- パッチテストの結果から、今後の注意点などを医師に説明してもらえる
- 皮膚炎の増悪などの副作用が出た場合、医師にすぐ相談できる
などが挙げられ、判定基準があります。
皮膚症状は皮膚科医が診断に慣れているため、パッチテストは皮膚科で受けるようにしましょう。
パッチテストの対象年齢
クリニックプラスでは、パッチテストの対象年齢を15歳以上しています。
15歳未満の方のパッチテストは行っておりませんので、あらかじめご了承ください。
パッチテストの検査項目
パッチテストでは、以下の24種類のアレルゲンを対象に検査できます。
パッチテストの注意事項
パッチテストの検査前・検査中に、注意しておきたいことがあります。
- 正確な診断につなげるために、薬を飲んでいる人は事前に医師に相談してください。
- パッチのパネルを貼っている間は、入浴を避けてください。
- 検査前日や検査中は、テスト部位に塗り薬や化粧品を使用しないでください。
- 検査中は、汗をかかないように気をつけましょう。
汗でアレルゲンが流れやすくなり、正確な診断ができない可能性もあるので、夏場の検査はできるだけ避けるようにしましょう。 - テスト部位を締め付ける衣服は避け、強くこすらないようにしましょう。
- パッチテストを受けることで、新たなアレルゲンにアレルギー反応が出るようになる可能性があることを知っておきましょう。
- パッチテストを行っても、皮疹の原因特定ができない場合もあります。
陽性反応は通常1~2週間以内に消失しますが、1か月以上持続することもあります。
また、検査の1~3週間後に新たな陽性反応が現れる場合もあります。
遅れてアレルギー反応が出たのか、新しいアレルゲンにアレルギー反応が出ているのか判断が難しいため、パッチテストを行った皮膚科の医師の診察を受けるようにしましょう。
パッチテストの流れ
パッチテストを受ける場合の、検査の流れを説明します。
パッチテストを貼ってから5日以内には判定結果が出ますが、遅れてアレルギー反応が出る可能性がある場合は、7~8日後にも判定のために受診が必要になります。
パッチテストの費用
パッチテストの費用には、検査料とパッチテスト自体の薬剤料がかかります。
パッチテストは保険が使える
パッチテストを医療機関で受けた場合、保険が適用され、3割負担の場合約5,800円です。
これに初診料・再診料等が加算されます。
アレルギー性接触皮膚炎の治療
パッチテストでアレルゲンが特定されたあと、どのような治療を行うのか解説します。
アレルゲンを避け、代替品を勧める
アレルゲンが含まれる生活用品を、できるだけ避けることが最も重要です。
化粧品など生活に欠かせないものは、アレルゲンが含まれていない商品を選ぶ必要があります。
どの商品を使用したらいいのか不安な場合は、成分を確認して医療機関に相談してみましょう。
薬で治療する
薬を使って治療を行う場合もあります。
炎症を抑えるためにステロイドの塗り薬を使用したり、かゆみに対して抗ヒスタミン薬などを飲んだりすることもあります。
症状がひどい場合は、ステロイドを飲んで治療する必要があります。
クリームや保湿剤で予防
必要に応じて、予防するクリームや保湿剤を使用して、アレルギー性接触皮膚炎を予防することもあります。
気になる場合は、皮膚科で医師に相談してみましょう。
日ごろからよく皮膚の赤みやかゆみでお悩みの方は、パッチテストを受けるとその原因がわかるかもしれません。
パッチテストは、検査を開始できる日が決まっています。まずは医師に相談してみましょう。