「更年期障害や美容の悩みにプラセンタが効くらしい」と聞いて、どのような治療法なのか気になっている方も多くいらっしゃるのではないでしょうか。
プラセンタを注射するプラセンタ療法は、厚生労働省から認可が下りた治療法で、さまざまな疾患や美容の悩みに幅広く効果が期待できます。
プラセンタとはどのようなもので、どんな効果があるのか、安全性や費用など、ここではプラセンタ療法について詳しく解説します。
プラセンタとは
医療や美容でよく耳にする「プラセンタ」とはどのようなものなのでしょうか。
まずはじめに、プラセンタの特徴について解説します。
プラセンタとは?なぜ医療や美容に活用されるの?
プラセンタとは「胎盤(たいばん)」のことです。
胎盤は、妊娠期にできる「臨時の臓器」で、お腹の赤ちゃんに栄養や酸素を届けたり、赤ちゃんを毒物や異物から守ったりする免疫の働きがあります。
動物が出産後に、自分の体から出た胎盤を食べるという話は有名です。
これは、栄養豊富な胎盤を食べることで母体の回復が早まることを、動物は本能的に知っているためだと考えられています。
こうした胎盤の働きや含まれる栄養価の高さが注目され、その成分が薬やサプリメントに活用されるようになりました。
健康や美容への意識が高まる昨今、プラセンタの優れた特性は、ますます評価されてきています。
プラセンタの種類と保険適用となる疾患
当院で使用しているプラセンタ注射薬は、「メルスモン」と「ラエンネック」の2種類で、どちらも厚生労働省により医薬品として認可されています。
メルスモンとラエンネックは、製造工程などに多少の違いがあるものの、効果にはそれほど大きな差はありません。
ただ、メルスモンは更年期障害や乳汁分泌不全、ラエンネックは肝機能障害、の治療に使われてきた歴史があるため、保険適用となる疾患に違いがあります。
<保険適用となる疾患> ※下記以外の効果を期待して使用する場合には、自費での治療となります
①メルスモン
乳汁分泌不全
更年期障害(45歳~59歳、それ以外の年齢の方は自費での治療となります)
②ラエンネック
慢性肝炎や肝硬変などの慢性肝疾患
プラセンタの効果
プラセンタ療法の効果について解説します。
どんな効果がありますか?
プラセンタは、体のさまざまな不調から美容、アンチエイジングに至るまで、非常に多くの症状に効果が期待できます。
<プラセンタの効果>
・更年期障害…ほてり、のぼせ、発汗、イライラ、不眠、頭痛などの改善
・免疫機能の強化…病気への抵抗力を高める
・活性酸素を取り除く…老化の防止
・強肝・解毒作用…肝臓の働きを強める
・乳汁分泌促進作用…乳汁の分泌を促進する
・抗アレルギー作用…アレルギーを抑える
・疲労回復…疲労の回復を促す
・美肌…シミ・シワ・ニキビの改善、美白効果
なぜ効果があるのですか?
さまざまな効果が実証されているプラセンタ療法ですが、現在のところ、「この成分が効いている」というような有効成分はわかっていません。
プラセンタに含まれる多くの成分が総合的に働くことで、効果が現れているのではないかと考えられています。
プラセンタの効果の根幹は「自然治癒力を高める」ことにあります。
人間には、病気や疲労、傷などを自分の力で治す「自然治癒力」が備わっています。
プラセンタはこの自然治癒力を強力に後押しする働きがあるため、特定の病気や症状に関わらず、効果が発揮されるのです。
プラセンタ療法の通院頻度・期間の目安
治療目的によって、プラセンタ注射を打つための通院頻度や期間は変わってきます。
目安は下記のとおりですが、効果を実感されている場合、下記の期間を超えて継続しての通院も可能です。
①更年期障害、乳汁分泌不全、月経困難、月経不順
通院頻度:週1~2回 通院期間:3~6か月
②花粉症
通院頻度:週1回 通院期間:3か月
③アトピー性皮膚炎、気管支喘息
通院頻度:週1~2回 通院期間:3~12か月
④慢性肝炎、関節リウマチ
通院頻度:週1~3回 通院期間:6~12か月
⑤疲労
通院頻度:適宜 通院期間:6~12か月
プラセンタ療法の費用
①保険適用の場合(3割負担)
1アンプルあたり、130円となります。
その他、初診料または再診料がかかります。
1アンプルを週1~3回使用します。
②自費診療の場合
1アンプルあたり、1,100円(税込)となります。
症状によって1回1~10アンプルを使用しますが、何アンプル使用するかは疾患や重症度によって異なります。
プラセンタ療法は安全ですか?副作用はありますか?
プラセンタ注射薬は、ヒトの胎盤を原料にして作られています。
ウイルスや細菌が混入しないよう、胎盤提供者の健康状態は入念にチェックされています。
また、製造工程においてもウイルスや細菌の不活化処理を行い、危険性を徹底的に排除しています。
副作用としては、注射部位の痛みや発赤、悪寒、発熱、発疹などが報告されています。
プラセンタ療法を行うにあたっての注意事項
プラセンタ療法は、下記の注意事項を十分ご理解いただいた上で受けていただくようお願いします。
・プラセンタ療法を受けた後は、厚生労働省の指針により、献血ができなくなります。
・プラセンタ投与後の臓器提供は、移植される人が主治医からリスクなどの適切な説明を受けた上で、提供に同意した場合のみ可能となります。
・日本プラセンタ医学会の指針に従い、当院では静脈注射・点滴注射は行っておりません。
まずは気軽に相談を
プラセンタ療法を受けてみたいけれど、自分の症状に効果があるのかわからない、費用が知りたい…
そんな場合はまず、受診してお気軽に医師にご相談ください。
症状に合わせた適切な治療を提案いたします。