急性肝炎は、初期症状だけではなかなか気づきにくい、急性の肝臓の機能障害が起こる病気です。
かぜ症状がなかなか治らないために、医療機関で医師の診察を受けて初めて、眼や皮膚が黄色になる「黄疸(おうだん)」に気づく人も多いでしょう。
ここでは、急性肝炎の症状から治療までを解説します。
急性肝炎とは
肝炎には、急性肝炎と慢性肝炎があります。
急性肝炎は6か月以内に肝臓の機能障害が改善しますが、慢性肝炎は6か月以上肝臓の機能障害が持続します。
急性肝炎は一時的に肝臓の機能に障害が起きている状態で、炎症が治まり症状が慢性化すると、慢性肝炎へと移行する場合があります。
急性肝炎は、主に肝炎ウイルスが原因ですが、薬などが関係している場合もあります。
ほとんどの場合経過は良好ですが、まれに重症化し、劇症肝炎(げきしょうかんえん)となって亡くなってしまうこともあり、早めに検査をして診断を受けることが重要です。
ストレスは、急性肝炎に関係がある?
ストレスは、急性肝炎に関係ないと考えられています。
ただし、過度なストレスによりアルコールを大量に飲むことで、肝臓に障害を与えてしまう可能性があるため注意が必要です。
急性肝炎の原因
急性肝炎の主な原因として、肝炎ウイルスの感染が挙げられます。
その他、薬が原因によって引き起こされる薬剤性肝障害や、自分の免疫が正常な肝臓の細胞を攻撃してしまうことで引き起こされる自己免疫性肝炎も急性肝炎にあたります。
肝炎ウイルスの感染経路は?
肝炎ウイルスには、A型・B型・C型・D型・E型の5種類が確認されています。
A型・E型肝炎は、主にウイルスに汚染されたものを、食べたり飲んだりすることで感染します。
特にE型肝炎は、ウイルスに汚染された豚肉・猪肉・鹿肉などが十分に加熱されておらず、生のまま食べてしまうことで感染してしまう場合があります。
B型・C型・D型肝炎は、血液や体液を介して感染します。
カミソリや歯ブラシを共有すると、出血時に感染してしまう可能性が高く危険です。
針・注射器の使い回しは感染のリスクが高いため、医療機関では滅菌された針・注射器を使用し、その都度使い捨てるようにしています。
ピアスの穴を開けるときも、きちんと滅菌されているかを確認しましょう。
また、コンドームを使用しない性行為も感染のリスクがあるので、コンドームを正しく装着する必要があります。
急性肝炎の症状
急性肝炎の初期の自覚症状は、発熱や頭痛、のどの痛みといったかぜ症状です。
次第に体のだるさや吐き気を感じたり、食欲がなくなったりする場合もあります。
どれも日常で感じやすい症状なので、急性肝炎の症状だとなかなか気づきません。
急性肝炎の自覚症状の中でいつもと違うと感じる症状は、「黄疸(おうだん)」です。
眼や皮膚が黄色になり、尿も褐色から次第に黒色へと変わっていきます。
鏡を見たときやトイレに行ったときに確認するよう心がけましょう。
急性肝炎の検査
急性肝炎は血液検査で、肝臓が障害されているかどうかや、原因となる肝炎ウイルスの種類がわかります。
急性肝炎のように、肝臓の細胞が破壊され機能が障害されると、肝臓の酵素である「AST (GOT)」「ALT (GPT)」「γ (ガンマ) -GTP」の値が上昇します。
また、急性肝炎の時には、黄疸の指標としてビリルビン値の上昇も確認されます。
ビリルビンとは、赤血球の中に存在する黄色の色素です。古くなった赤血球は、脾臓(ひぞう)で破壊されます。
赤血球から出てきたビリルビンは、肝臓で処理され、体の外へ排出されていきます。
肝臓の機能が障害されると、ビリルビンを処理できなくなり、血液中のビリルビン濃度が高くなることで黄疸が引き起こされます。
血液検査で、原因となる肝炎ウイルスの種類の特定も可能です。
それぞれのウイルスに対する抗体を持っているか、ウイルスが持つ特徴的なタンパク質(抗原)を持っているかを検査することで、肝炎ウイルスの種類を特定できます。
どれも血液検査で診断できるので、気になる症状があるときには、早めに医療機関で医師の診察を受けて検査するようにしましょう。
急性肝炎の治療
急性肝炎の治療は、主に安静と食事療法です。
安静にして肝臓に血液が流れやすい状態にし、肝臓の回復を待ちます。
また肝臓への負担を減らすためにも、タンパク質の摂取量を制限し、糖質を中心にしてエネルギーを確保するようにします。
アルコールを飲まないことも重要です。
食欲がない場合には、点滴などからエネルギーを確保する場合もあります。
薬による治療は必要としないことが多いですが、一部の肝炎ウイルスによる重症化例などでは医師の管理の元、抗ウイルス薬による治療を行う場合もあります。
急性肝炎の安静と経過観察のための入院期間はどれくらい?
肝臓の機能障害が回復するには時間がかかるため、症状や障害の程度にもよりますが、入院期間は1か月程度が目安となります。
仕事の都合などもあるでしょうから、入院を勧められたら、まずは医師に確認してみましょう。
クリニックプラスでの急性肝炎の診療の流れ
①問診
症状の詳細を聞きます。患者さんからのお話に診断のためのヒントが隠されているため、丁寧に問診をとります。
(LINEの事前問診にお答えいただくと、よりスムーズな診療を提供できますのでご協力ください)
②身体診察
最初は、かぜに似た症状が出ることが多いです。
のどの所見や、呼吸音に異常がないかなどを確認し、急性肝炎以外の病気が隠れていないか丁寧に診察します。
③検査
急性肝炎が疑われた場合には、血液検査を行います。血液検査で肝臓の機能障害の有無や程度を知ることができます。
④専門病院への紹介
血液検査で重度の肝機能の障害を認めた方は、場合によっては入院加療が必要になることもあるので、大学病院や総合病院をご紹介します。
クリニックプラスは、多くの大学病院や総合病院と連携をとっていますので、速やかにご紹介することが可能です。
急性肝炎の初期症状はかぜ症状ですが、徐々に眼や皮膚に黄疸が見られるようになります。
自分ではなかなか気づきにくいので、気になる症状がある場合は、まずは医師の診察を受けるようにしましょう。
クリニックプラスでは、事前のLINE問診やクレカ決済システムなど、テクノロジーを活用することで待ち時間を少しでも短くする取り組みを行っています。
また、平日は20時まで、土日祝日も毎日診療しています。
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