「海外旅行先のホテルでトコジラミに刺された」というような話題を耳にしたことはありませんか?
コロナ禍の後、人の往来が活発化したことで、トコジラミの被害が日本国内でも広がってきています。
トコジラミに刺されると、夜も眠れないほどの激しいかゆみが生じます。
ここでは、トコジラミに刺された場合の症状や治療、トコジラミを家に持ち込まないための対策などについて解説します。
トコジラミとは
近年、トコジラミに刺される被害が世界的な話題となっています。
日本でも、例えば東京都への相談件数は20年前の10倍以上に跳ね上がっているような状況です。
トコジラミとはどのような虫で、なぜ今流行しているのかについて解説します。
トコジラミとは
「トコジラミ」という名前からシラミの仲間だと勘違いされやすいのですが、実はシラミではなくカメムシの仲間で、別名を「南京虫(ナンキンムシ)」ともいいます。
体長5ミリほどの大きさで、目で確認することができます。夜行性で夜になると活動を始め、寝ている人の血を吸います。
トコジラミに刺されると赤いブツブツができて、激しいかゆみに襲われます。
かゆみがしつこく治りにくいことや、トコジラミの駆除が簡単ではないことから、その被害の拡大が問題となっているのです。
どんな場所に潜んでる?
トコジラミは夜行性のため、昼間は狭い隙間などに潜んでいて、夜暗くなると現れます。
トコジラミが潜んでいるのは下記のような場所です。
・ベッドのマットレスの継ぎ目
・ベッドの脚やフレームの継ぎ目
・じゅうたんやマットの下
・布団と床の隙間
・ソファや椅子の背もたれの継ぎ目
・畳と畳の隙間
・ダンボール
・カーテン
・本棚
・押し入れ
トコジラミは明るい状態ではなかなか見つかりませんが、部屋を暗くすると出てきます。
夜に30分ほど明かりを消し、再度明かりをつけると見つかることが多いです。
どうして流行しているの?
新型コロナウイルスのパンデミック後、外国間の移動に関する規制が緩和され、人の往来が活発化したことが大きな原因の1つといわれています。海外旅行者の服やカバンにトコジラミが付着し、国内に持ち込まれていると考えられます。
また、流通の発達により、海外から輸入された家具や、梱包用のダンボールに付着して持ち込まれる場合もあります。
さらに、殺虫剤が効かないトコジラミも出てきたことで駆除が難しくなったことも加わり、世界的な流行をみせています。
トコジラミに刺されたときの症状は?
トコジラミに刺されると、次のような症状が出ます。
・2~5mmのぷっくりした赤いブツブツができる。
・眠れないほどの激しいかゆみを伴う。
・刺された後、48時間以内に症状が出る。
・かゆみは1~2週間続く。
・発熱を伴う場合もある。
かゆい部分をかきむしることで皮膚に傷がつき、そこから細菌感染を起こして化膿したり腫れたりすることもあるので注意が必要です。
トコジラミに刺されたときの治療法
トコジラミに刺された場合の治療や受診の目安について解説します。
受診の目安は?自然に治る?
かゆみがそれほど強くない場合には、様子をみることで自然に症状がおさまる場合もあります。
しかし、かゆみがひどくてかきむしってしまう、かゆくて夜眠れない、というような場合は皮膚科を受診し、治療を受けるようにしてください。
トコジラミによる症状だと思っていたら他の疾患だったという可能性もあります。
その場合、安易に市販薬などを使うと逆効果になることもあるため、まずは医療機関でしっかり診断してもらうと安心です。
どんな治療が必要ですか?
かゆみなどの症状に対し、ステロイドの塗り薬や、炎症を抑える飲み薬を使って治療します。
トコジラミの対策は?
症状自体は、上記の薬による治療でおさまりますが、根治のためにはトコジラミを駆除することが必要になります。
トコジラミの駆除方法や、トコジラミを自宅に持ち込まないための対策について解説します。
トコジラミの駆除方法
トコジラミの駆除方法には、物理的な手段と化学的な手段があり、その両方を行うことが必要になります。
<物理的な手段>
・生息場所に入念に掃除機をかける。
・掃除機で吸い取ったゴミはすぐにビニール袋に入れ、袋の口をしっかり結んでから捨てる。
・衣類や寝具を80℃以上の熱湯に5分以上漬ける。
・衣類や寝具を洗濯し、高温に設定した乾燥機で乾かす。
・トコジラミが出た部屋にあるダンボールは必ず捨てる。
<化学的な手段>
・プロポクスル、メトキサジアゾン、有機リン系の成分が入った殺虫剤を使う。
・トコジラミが潜んでいる寝具や家具の隙間を中心に、殺虫剤を注入・散布する。
自力での駆除は難しい場合も多いため、可能であれば専門の害虫駆除業者に依頼することをおすすめします。
トコジラミを自宅に持ち込まないようにするために
海外旅行先のホテルなどでトコジラミが荷物に付着し、そのまま持ち帰ってしまうケースが多くあります。
宿泊先のベッドやカーペットには荷物を直接置かないようにしましょう。
また、ホテル滞在中はカバンや靴など、ビニール袋に入れられるものは入れて、袋の口をしっかり縛っておくと安心です。
クリニックプラスでのトコジラミの診療の流れ
①問診・診察
トコジラミの診察は、問診と視診が重要です。
症状などの病歴について話を聞き、患部の診察を行いながら、発疹の原因がトコジラミによるものなのかを考えていきます。
LINEの事前問診にお答えいただくと、診療がスムーズに行われます。
②治療
外用薬や内服薬を用いて治療を行っていきます。
③再発予防
トコジラミに再び刺されないよう、上記の方法で駆除をお勧めします。
クリニックプラスは、平日は20時まで、土日祝日も毎日診療しております。
トコジラミを疑うような皮膚症状でお悩みの方は、是非一度ご相談にいらしてください。