爪が部分的に黒く変色したり、変色した部分が脆くなっていたりと変化がある方はいませんか?それは、爪の病気かもしれません。
今回は4つの疾患をご紹介します。症状や変色部分の特徴などから、緊急性があるかどうかのおおよその判断が可能ですので、参考にしてみてください。
爪が黒くなる疾患や病変とは?
爪は日頃から目に入る部位であるため、変色すると目立って審美的に気にされる方が多いです。
ほとんどの場合で特別な治療は必要ありませんが、状態によっては受診した方がよいかもしれません。
今回は、爪が黒く変色する代表的な原因として、以下の4つをご紹介します。
・爪下出血(そうかしゅっけつ)
・爪甲色素線条(そうこうしきそせんじょう)
・母斑細胞母斑(ぼはんさいぼうぼはん)/ほくろ
・悪性黒色腫(あくせいこくしょくしゅ)/メラノーマ
爪下出血(そうかしゅっけつ)
爪の上に物を落としたり、靴などで慢性的に刺激を受けたりしていると、爪の下で出血が起こります。
この状態を、爪下出血や爪下血腫(そうかけっしゅ)と呼びます。
血液によって爪の色が赤色・紫色・茶色・黒色に見えている状態です。血液に圧迫され、強い痛みを感じる場合もあります。
通常、出血は自然に吸収されていくため、特別な処置は必要ありません。爪が伸びるのに伴って、徐々に消えていきます。
痛みが強い場合には、爪に穴を開けて血液を出す処置をおこなうと楽になります。時間が経過してしまうと血液が固まるため、この処置はおこなえません。
血腫が大きいと爪が剥がれることがありますが、ほとんどの場合で新しい爪が生えてくるので安心してください。
爪下出血の痛みがつらい場合には、早めに皮膚科や形成外科を受診しましょう。
爪甲色素線条(そうこうしきそせんじょう)
爪に縦方向の黒い線が入っている状態を「爪甲色素線条」と呼びます。
大人だけでなく、子どもにも生じるもので、心配になる親御さんも少なくありません。生後すぐにあらわれ、徐々に範囲が広がることもあります。
子どもの場合は自然に消えることがほとんどですので、経過を見ることが多いです。小学生で約1%に爪甲色素線条が見られるといわれています。
母斑細胞母斑(ぼはんさいぼうぼはん)
爪甲色素線条のほとんどは母斑細胞母斑、いわゆる「ほくろ」が原因です。
爪の生え際の部分に、メラニン色素を作る細胞(メラノサイト)が入り込むことで、爪に色素沈着が起こり、茶色〜黒色の線が生じます。
良性のほくろなので、痛みなどの自覚症状もないため、放っておいても問題はありません。
ただし、複数の指に爪甲色素線条が生じている場合、アジソン病や甲状腺機能亢進症(こうじょうせんきのうこうしんしょう)など、全身に関わる疾患の可能性があります。
念のため、医療機関での受診をご検討ください。
悪性黒色腫(あくせいこくしょくしゅ)/メラノーマ
母斑細胞母斑としっかり区別したいのが「悪性黒色腫(メラノーマ)」です。
いわゆる皮膚がんの一種で、日本人は爪の悪性黒色腫が欧米と比較して少し多い傾向にあります。
爪に生じた黒い線が以下のような特徴に当てはまる場合は、皮膚科などでご相談ください。
・爪の根元と先端で色が違う
・線の中で色の濃さにグラデーションがある
・爪だけでなく、爪周囲の皮膚も黒くなっている
・黒くなった爪が脆くなり、変形したり割れたりしている
・黒い部分が急激に広がっている
爪の変色が心配であれば受診を
今回は爪が黒く変色した場合に、考えられる疾患や病変をご紹介しました。
見た目に目立ってしまうため、不安に感じることが多いかもしれませんが、健康上は問題のないことがほとんどです。
ただし、爪の変形や割れ、変色の範囲の広がりなどが見られる場合には、早めに医療機関を受診してください。