不整脈には、いろいろな種類があります。胸がどきどきするなど、動機や息切れの症状が出る不整脈の中に、「心房頻拍(しんぼうひんぱく)」と呼ばれるものがあります。
心房頻拍とは
心房頻拍について解説していきます。
心房頻拍とは
心房頻拍は、不整脈の一種である頻脈(ひんみゃく)のうち、心臓上部の部屋である心房で発生するものです。健康な人の脈拍は1分間に60~100回程度ですが、心房頻拍が起こると1分間に100回以上、多くの場合140~200回の頻度で脈が生じます。心臓では洞結節(どうけっせつ)という部分で電気を作って心筋を動かしていますが、洞結節とは異なる部分が発電することによって心房頻拍が起こります。心房頻脈は、脈波が同じ間隔で振れることが特徴です。
心房細動や心房粗動との違い
心房細動と、心房頻拍の大きな違いは、脈の動き方です。心房細動では脈の動きがバラバラなのに対して、心房頻拍は脈の動きが一定です。心房粗動の方は心房頻拍と同様、脈は一定ですが、心房が興奮する頻度が異なります。心房頻拍は1分間に240回より少ない頻度で心房が興奮する場合が多く、一方心房粗動は1分間に300回程度の頻度で心臓が興奮することが多いです。心房の興奮の頻度は心電図をみることで見分けることができます。
心房頻拍の原因
心房頻拍の原因について解説していきます。
洞結節以外に電気信号をだす場所がある
心臓を動かす電気信号を発するのが、洞結節と呼ばれる部分です。ところが、洞結節以外の部分に発電源ができてしまったり、心房内に異常な電気回路ができてしまったりすることがあります。このように洞結節以外の発電源や電気回路から異常な頻度で発電され、脈が速くなってしまうのが心房頻拍です。
病気や薬が原因となることも
甲状腺機能亢進症などの基礎疾患があることで心房頻拍になりやすくなります。また、薬の影響で心房頻拍になることもあり、代表的な薬剤としてはジギタリスがあげられます。
心臓病や心臓手術をしたことがある方に、心房頻拍がみられることもあります。
心房頻拍の症状
心房頻拍の症状について解説していきます。
動悸
心房頻拍の患者さんが訴える主な症状は動悸です。受診の目安は1分間に100回以上の頻度で脈拍がある場合ですが、強い動悸を自覚された方は、早めに受診するようにしましょう。
その他
中には、症状に気づかず無症状で経過する方もいますが、息切れや胸の不快感を訴える方もいます。多くはありませんが、胸痛や倦怠感といった症状が現れる方もいます。ご自身の体の変調は見逃さないようにしてください。
心房頻拍の検査
心房頻拍のときに行う検査について解説していきます。
心電図
動悸症状で病院を受診したときにまず行うのが心電図検査です。心房頻拍の発作がでているときに心電図をとることができれば診断できます。
ホルター心電図
心房頻拍の最中に心電図をとることができず診断ができない場合や、1日の中でどのくらいの頻度で不整脈がでているのかを確認するときにはホルター心電図を使って検査します。
心臓超音波検査
不整脈がある場合には、心臓に病気がある可能性を考え、心臓超音波検査を行います。胸の上から行う経胸壁心臓超音波検査が一般的ですが、心臓内の血栓の有無を確認するときなどには経食道心臓超音波検査を行います。
心房頻拍の治療
心房頻拍の治療について解説していきます。
原因となる病気の治療
甲状腺機能亢進症などの基礎疾患がある場合には、そちらの治療を優先します。寝不足やストレス、脱水やアルコールがきっかけとなって心房頻拍の発作が起きることもあるので、日頃の体調管理も大切です。
薬物治療
心房頻拍を止めるためにATPという注射薬が効くことがあります。突然の動悸症状で病院を受診した際、ATPを使うことで発作を止めることができます。
そのほかに、β遮断薬、ベラパミルなどの内服薬を定期的に服用することで心房頻拍の発作を抑えることができるかもしれません。
電気ショック
心房頻拍の発作を止めるための手段の一つに電気ショックがあります。発症から72時間経っていないことが条件になりますが、電気ショックを行うことで不整脈をリセットして普段の脈に戻すことができます。
カテーテルアブレーション
根治術はカテーテルアブレーションです。カテーテルアブレーションは、原因となっている心房の異常な部分や回路に対して、カテーテルを使って焼き切る、または冷凍して凝固させる手術です。根治術を希望される方や薬で心房頻拍を止めることが難しい方が対象となります。カテーテルの検査、電気生理学的検査で心臓内のどこが原因となって心房頻拍が出ているのかを把握し、原因となる部分にカテーテルアブレーションを行います。
心房頻拍を放っておくとどうなる
心房頻拍で命に関わることはありません。
緊急性はない
心房頻拍の発作が起きることで命に別状はありません。とはいえ、突然動悸症状が始まることで不安に思う方も多いと思います。。また、動悸の原因が必ずしも心房頻拍とは限りませんので、早めに循環器内科を受診するようにしましょう。
心房頻拍で死ぬことはない
心房頻拍により突然死に至ることはありません。安心してください。
心不全となる可能性
頻脈が続くことで心不全となる可能性があります。もともと心臓に病気がある方は、特に注意が必要です。
クリニックプラスでの心房頻拍の診療の流れ
①問診
症状についてお話をききます。事前にLINE問診であらかじめお答えいただくと、診察がスムーズに行われます。この時点ですでに発作が起きているような状態の場合には、細かい問診を省略してすぐに検査に移行することもあります。
②身体診察
聴診器を用い、心臓の音や呼吸音に異常がないかを確認します。
③検査
心電図検査を行います。心電図検査にて、心房頻拍を認めないものの、心房頻拍を強く疑う症状のある方は、24時間心電図(ホルター心電図)の検査を勧めさせていただく場合もあります。心房頻拍の症状が出現してから長時間経過しているような場合には、心房内に血栓が形成されていないかを確認するために、心エコー検査を行う場合もあります。
④内服薬や点滴による治療
診察中に発作が起きているような場合には、点滴の抗不整脈薬にて加療を行います。来院時発作が起きていない場合は、発作時に内服していただく薬を処方致します。
⑤専門病院への紹介
発作の頻度が頻回の場合や、日常生活に支障が出るほどの症状を認めるような場合には、カテーテルアブレーションも検討し、大学病院や総合病院を紹介させていただくこともあります。クリニックプラスは多くの大学病院や総合病院と連携をとっておりますので、速やかに紹介することが可能です。
突然心臓がドキドキするような場合には、心房頻拍がでているかもしれません。クリニックプラスでは循環器内科専門医による診療を、スピーディに受けることができます。また、事前LINE問診や、事前クレカ決済システムなど、テクノロジーを活用することで待ち時間を少しでも短くし、通院しやすい体制を整えています。ご心配な方はぜひ一度相談にいらしてください。