健康診断の心電図検査で、心室性期外収縮(しんしつせいきがいしゅうしゅく)の可能性を指摘され、精密検査を受けるように言われることがあります。心電図の検査に引っかかるとドキッとしてしまうかもしれません。心室性期外収縮は、実はよく見られる不整脈の一種で、少し出ているくらいでは大きな問題にならないことがほとんどです。しかし、1日に何千回も心室性期外収縮が出ているような場合や、連続で心室性期外収縮を認めるような場合には命に関わる不整脈に繋がる可能性があるので、注意が必要です。ここでは心室性期外収縮がどのようなものか、原因や治療について詳しく解説します。
心室性期外収縮とは
まず初めに、心室性期外収縮の特徴について解説します。
心室性期外収縮はよくある不整脈の一種
脈を打つリズムが乱れることを不整脈といいます。心室性期外収縮は、脈が飛んだり抜けたりするような感じになる不整脈の一種です。ホルター心電図という検査をすると、健常な人でも多くの人にみられ、特に高齢者で多くなります。心室性期外収縮が起こる回数が1日数百回程度であれば健常な方でもよくみられます。健診で指摘されたとしても、多くの場合、緊急性は無いため、むやみに不安になる必要はありません。
心室性期外収縮とは
「期外収縮」というのは、「正しい時期ではないときに心臓が収縮する」ということで、脈の乱れとして自覚されたり検査結果に現れたりします。心臓は4つの部屋に分かれており、心臓の上側の部屋を心房、下側の部屋を心室といいます。脈の乱れの発生源が心房にある場合を上室性期外収縮、心室にある場合を心室性期外収縮と呼びます。
心室性期外収縮の症状
健診などで指摘される場合、自覚症状は無いことがほとんどですが、脈を取ると脈が飛んでいるのが分かることもあります。心室性期外収縮が連続して起こると、一時的に血圧が下がったり、めまいや動悸(どうき)などの症状が現れたりすることもあります。
心室性期外収縮の原因
心室性期外収縮は、心室に脈の乱れの発生源ができてしまうために起こる不整脈であると前述しましたが、なぜそのような発生源ができてしまうのでしょうか。その原因には大きく2つあります。1つは自律神経の乱れによるもの、もう1つは心臓の病気によるものです。前者は心配いりませんが、後者では注意が必要です。
自律神経の乱れによるもの
次のようなことが原因で自律神経が乱れている場合、心室性期外収縮を起こすことがあります。
・睡眠不足、疲労、ストレス
・カフェインやアルコールの摂りすぎ
この場合は命に関わることは無いためほとんど心配いりません。
心臓の病気によるもの
心筋梗塞、心筋症、心臓弁膜症、心不全などの心臓の病気が原因で心室性期外収縮が起こることがあります。こうした心臓の病気のある人が心室性期外収縮を頻繁に起こすようになると、心室頻拍(しんしつひんぱく)や心室細動(しんしつさいどう)などの危険な不整脈につながることがあるため注意が必要です。
放置しても大丈夫?
心室性期外収縮以外に心臓に異常がなく、自覚症状があっても日常生活に支障がない場合には治療は不要です。運動など日常生活における制限も特にありません。ただし、経過を観察するためにも定期検診は忘れずに受けるようにしてください。
期外収縮の原因となるような心臓の基礎疾患がある場合には、放置することで最悪の場合、突然死を招く可能性があります。このような場合には基礎疾患の治療が必要になります。また、基礎疾患の有無に関わらず、1日の中で心室性期外収縮を起こす頻度が高く、症状が強く出て日常生活に支障を来しているような場合も治療の対象となる場合があります。
心室性期外収縮の検査
心室性期外収縮は、原因となる心臓の病気がある場合に問題となります。そのため、心室性期外収縮以外に心臓に異常が無いかを確認するため、精密検査を行います。
- 心エコー
心臓の動きや大きさに問題がないか、超音波で確認する検査です。検査時間は15~30分程です。 - 24時間ホルター心電図
心電図を装着して24時間普段通りの生活をしていただき、日常生活の中でどのくらい不整脈が発生しているのかを記録します。
心室性期外収縮の治療
最後に、心室性期外収縮の治療について解説します。
心臓の基礎疾患の治療
心筋梗塞、心筋症、心臓弁膜症、心不全などの基礎疾患が見つかった場合、またはもともとあることが分かっている場合には、その治療を行います。
カテーテルアブレーション
24時間ホルター心電図で、心室性期外収縮が総心拍数の20%を超えるような高頻度で見られるような場合には、カテーテルアブレーションという治療を行うこともあります。これは、脈の乱れの発生源となっている部位をカテーテルで焼き切る治療で、通常2~3時間で終わる手技です。動悸を中心とした不快な症状が消える他、心臓の機能が低下している場合には機能の改善が見られます。
自律神経の乱れの改善
原因が自律神経の乱れである場合、治療は不要であるケースがほとんどですが、自覚症状がある場合には生活習慣を見直してみることも大切です。過剰な飲酒やカフェインの摂取を控え、なるべくストレスをためないようにして十分な睡眠を心がけるようにしてください。
クリニックプラスでの心室性期外収縮の診療の流れ
①問診
症状の有無についてお話をききます。健康診断で指摘されて受診される方もいらっしゃると思います。そういった方は健康診断の結果も持参ください。また、事前LINE問診にあらかじめお答えいただくと、診察がスムーズに行われます。
③身体診察
聴診器を用い、心臓の音や呼吸音に異常がないかを確認します。
④検査
心電図検査を行います。心電図検査にて、心室性期外収縮が頻回に認められるような場合や、症状のある方は、24時間心電図(ホルター心電図)の検査を勧めさせていただく場合もあります。また、頻回の心室性期外収縮を認める方には、採血検査や心エコー検査などを追加して行う場合もあります。
⑤生活指導及び薬の処方
心室性期外収縮はほとんどが治療を要さないものの方が多く、定期的な健康診断などでフォローアップしていくことが多いですが、ごくまれに症状として強く感じる方もおりますので、そういった場合には投薬加療も検討します。
⑥専門病院への紹介
心室性期外収縮が何かしらの心臓の基礎疾患によっておきていると考えられた場合には、基礎疾患の専門的な精査のために大学病院や総合病院を紹介させていただくこともあります。クリニックプラスは多くの大学病院や総合病院と連携をとっておりますので、速やかに紹介することが可能です。
心室性期外収縮を頻回に認めるような場合には心臓疾患が隠れている可能性があります。クリニックプラスでは循環器内科専門医による診療を、スピーディに受けることができます。また、事前LINE問診や、事前クレカ決済システムなど、テクノロジーを活用することで待ち時間を少しでも短くし、通院しやすい体制を整えています。ご心配な方はぜひ一度相談にいらしてください。