「あせも」ができたことはありますか?
子どもから大人まで、誰にでもできる可能性がある「あせも」は、意外と症状が強く、不快な皮膚疾患です。早く治し、再発しないようにするため、治療・予防について正しく知りましょう。
あせもとは
まずは、「あせも」という病気について、その成り立ちや症状について紹介します。
あせもができる原因
あせもは、汗が大量に出たときに、何らかの原因で汗腺(汗を皮膚の外へ排出する管)が詰まってしまい、皮膚の中に汗がたまることによって生じます。また、汗による皮膚のかぶれを「あせも」と呼ぶこともあります。
代表的な症状は、強いかゆみ、赤みのあるブツブツ(発疹)です。水疱(水ぶくれ)になってしまうこともあります。皮膚の表面付近で汗がたまったときは透明に近い発疹ですが、少し深いと赤みがあり、もっと深いとあまり発疹らしくない、なだらかな盛り上がりができます。
汗の成分はほとんどが水ですが、尿素や乳酸、塩分などもわずかに含まれており、皮膚の内側に長時間とどまっていると周囲の組織を刺激して、症状を引き起こすのです。
あせもができやすい部位
あせもは、汗をかきやすく、蒸れやすい部位によくできます。
ワキ・ひじや膝の裏・足の付け根・下着の内側などは、あせもの生じやすい部位です。大人の場合、ベルトで締め付けるおへそ周りや、胸の下なども、汗で蒸れやすいので注意してください。
暑い日に長時間、通気性の悪い長ズボン(ジーンズなど)をはいてアウトドアを楽しんだ場合、足全体にあせもができるということもあります。
あせもの治療法
あせもは、症状が強いので、放っておかずに病院で治療を受けるのがおすすめです。
ステロイド外用薬
汗によって炎症を起こしており、かゆみも強いため、ステロイド外用薬でしっかり炎症を抑えます。かきむしってしまうと、肌の状態が悪化するかもしれません。
部位や症状の程度によって、ステロイド外用薬の強さ(ランク)を調節します。
小さなお子さんにステロイドを使うのは、不安だという保護者の方も少なくありません。副作用が強いのではないか、やめられなくなるのではないか、といった声を耳にすることがあります。
あせもなどのように、皮膚が炎症を起こしている状態は火事、ステロイド外用薬は消防車のようなものです。火事がおきているのに、コップの水をかけていても、いつまで経っても火は消えません。
作用の強い薬を短期間、正しい指示のもとで使えば、炎症を素早くしずめ、早く治すことに繋がります。
かゆみ止め
あせもは非常にかゆみが強いので、かきむしらないよう、かゆみ止めも使用することが多いです。
小さなお子さんの場合は主にステロイド外用薬を用いますが、抗ヒスタミン作用のある内服薬が飲める場合は内服薬もあわせて使用する事があります
あせもの予防法
日々の肌ケアを丁寧におこなうことが、あせもの予防に繋がります。
こまめに汗をふき取る
汗が多く出たときに「あせも」になりやすいので、こまめに汗を拭き取り、皮膚への刺激にならないようにしましょう。
小さな子どもでも、大人と同じ数の汗腺を持っています。そのため、子どもは体の大きさのわりに、汗をたくさんかきます。保護者の方が暑いと感じていないときでも、お子さんの汗の状態を確認して、拭き取るようにしてください。
水で濡らしたタオルを使えば、汗に含まれる刺激のある成分もしっかりふき取ることができます。あまりゴシゴシこすらず、優しくぽんぽんと、おさえるように拭き取りましょう。
こまめにおむつを交換する
おむつの内側は蒸れやすく、あせもができやすい部位です。
「まだ汚れていないから、交換しなくてもいいか」と、交換を先送りにした経験はないでしょうか?汚れていなくても、おむつの中は、汗を吸って湿度が上がっています。
汗をかく季節の日中は、おむつが汗で湿っていないかも確認するとよいでしょう。
温度・湿度の調整をしっかりする
そもそもの汗の量を減らすため、部屋の温度・湿度の調整をしましょう。
エアコンや除湿器を使って調節するほか、扇風機やサーキュレーターを使って風の流れを作ると体感として過ごしやすくなります。
衣服は通気性・速乾性のよいものを選びます。リネン、ポリエステル、レーヨンなどが、通気性がよく、速乾性もある素材の代表です。コットン素材は、肌に優しく通気性はよいのですが、あまり速乾性はないため、汗をかいたら着替えるようにしましょう。
あせもの合併症
「あせも」に合併する皮膚疾患はいくつかあります。あせもから悪化していないか、注意してみてください。
伝染性膿痂疹(のうかしん)
いわゆる「とびひ」のことです。カサブタや水ぶくれが、あせもの周辺だけでなく、離れた部分にまで広がっていくことから名付けられました。皮膚の細菌感染症なので、ステロイド外用薬だけを塗っていると悪化することがあります。抗菌薬を使った治療が必要です。
あせもだけが原因ではありませんが、あせもを掻きむしっていると、皮膚表面に存在する細菌が傷口から入り込んで伝染性膿痂疹になってしまうかもしれません。
あせもを触らない・かきむしらないようにすること、あせもができないようにすることが大切です。
多発性汗腺膿瘍(のうよう)
あせもの合併症の1つで、「あせものより」と呼ばれることもあります。あせもを引っかくなどしたときに菌が入り込み、膿がたまってしまったものです。ぶよぶよと水っぽいようなしこりができ、痛みを伴います。
乳幼児など、引っかくのを我慢できない子どもの、頭や顔、背中、お尻などに生じやすいです。こちらも「とびひ」と同様に抗菌薬の治療が必要で、あせもを触らない・かきむしらないようにすること、あせもができないようにすることが大切です。
クリニックプラスでのあせもの診療の流れ
①問診
症状などの病歴について話を聞きます。LINEの事前問診にお答えいただくと、診療がスムーズに行われます。
②診察
患部の診察を行います。皮膚疾患の診断は視診が重要です。医師が丁寧に診察を行っていきます。
③治療
外用薬や内服薬を用いて治療を行っていくと同時に、症状を増悪させないための生活指導も行っていきます。
あせもはごくありふれた疾患です。クリニックプラスは、日々お忙しい方でも通院しやすいように、事前LINE問診や、事前クレジットカード決済システムなど、テクノロジーを活用することで待ち時間を少しでも短くする取り組みを行っています。また、平日は夜の8時まで、さらには土日祝日も毎日営業することで、通院しやすい体制を整えています。あせもでお困りの方は、是非一度ご相談にいらしてください。