男性型脱毛症(AGA)は、日本人男性の約30%が悩まされている症状です。早ければ20歳代後半から症状が出はじめます。
見た目に大きく影響する男性型脱毛症の原因を詳しく解説するとともに、治療薬の特徴、脱毛を起こす別の病気の可能性についてお伝えします。
男性型脱毛症とは?
まずは、男性型脱毛症がどのようなものかお伝えします。
男性型脱毛症とその原因
男性型脱毛症は「Androgenetic Alopecia」の略でAGAとも呼ばれます。
男性ホルモンの一種である「ジヒドロテストステロン」が原因となって生じる進行性の脱毛なので、自然に治るということは期待できません。
ジヒドロテストステロン自体は悪いものではなく、思春期の二次性徴(声変わり、男性らしい体つきへの変化)などに必要なものです。AGA発症のメカニズムをご紹介します。
①テストステロンが「5αリダクターゼ」という酵素と結びつき、ジヒドロテストステロンが発生する
②ジヒドロテストステロンが男性ホルモン受容体と結合する
③脱毛因子である「TGF-β」が増加する
④TGF-βが毛髪の毛周期に働きかけ、髪の成長が止まって抜け落ちる「退行期」へ移行する
AGAの発症には、「5αリダクターゼの活性の強さ」「男性ホルモン受容体の感受性の高さ」の2つが関わります。5αリダクターゼの活性が強い方はジヒドロテストステロンを過剰につくる体質ということです。男性ホルモン受容体の感受性が高いと、ジヒドロテストステロンとたくさん結合し、脱毛因子をどんどん増やします。
この2つには遺伝的な要因があるため、「AGAは遺伝する」といわれているのです。
男性型脱毛症のパターン
男性型脱毛症の脱毛パターンには、大きく3つあります。
①髪の生え際が後退して、M字のようになるパターン(M型)
②髪の生え際が後退して、U字やA字のようになるパターン(U型)
③頭頂部がO字のように脱毛するパターン(O型)
この3つのパターンの組み合わせや進行度合いによって9パターンに分類する考え方もあります。頭頂部と髪の生え際が、男性型脱毛症の主な脱毛部位です。
男性型脱毛症の治療法
男性型脱毛症の治療は自費診療になります。それぞれのメリットなどを比較してご自身にあった治療法を選びましょう。
フィナステリド(内服薬)
世界中で使われており、日本でも厚生労働省に認可された薬です。
「II型5αリダクターゼ」を阻害し、ジヒドロテストステロンの発生を抑えます。とくに、頭頂部の脱毛に対して効果が期待されるAGA治療薬です。効果を見るために6か月程度の継続が望ましいですが、早い方では3か月程度で効果を実感できる場合もあります。
副作用として、肝機能障害や性欲減退、勃起不全などが数%の頻度で報告されています。
デュタステリド(内服薬)
フィナステリドに続き、厚生労働省から認可されたAGA治療薬です。
「I型およびII型の5αリダクターゼ」を阻害し、ジヒドロテストステロンの発生を抑えます。もともと、AGAに関わる5αリダクターゼはII型のみだと考えられていましたが、I型も関与するらしいことが徐々にわかってきました。そのため、フィナステリドで効果が不十分だった方でも、デュタステリドであれば効果が得られる可能性があります。
副作用として、性欲減退や勃起不全、発疹、頭痛などがわずかに報告されています。
ミノキシジル(外用薬)
ミノキシジルを配合したローションタイプの治療薬です。
血管をひろげ、血流を改善することで毛髪へ栄養を届けやすくし、毛髪の成長を促します。効果を見るため、目安として4か月程度は継続して使用しましょう。フィナステリドやデュタステリドと併用することができます。
ミノキシジルで効果が得られたとしても、治療をやめると元に戻ってしまう点に注意が必要です。
副作用として、塗布部位のかゆみや発赤のほか、動悸や頭痛などが起こる可能性があります。
植毛
自毛植毛術は高い生着率が得られるため、選択肢の1つとなります。後頭部など、男性型脱毛症の影響が少ない部分の毛を移植する処置です。自毛植毛術と比較すると、人工毛植毛術は脱落する割合も高く、アメリカでは禁止されています。
クリニックプラスでは植毛の治療は行っておりませんが、フィナステリドやデュタステリド、ミノキシジルなどの薬を処方することが可能です。
男性型脱毛症以外で脱毛を起こす病気
「男性の脱毛=男性型脱毛症(AGA)」だと思い込んでいませんか?じつは、脱毛を起こす病気は他にもあります。正しい対処法をとるために、脱毛にお悩みであれば一度受診してみましょう。
円形脱毛症
円形・楕円形に1箇所〜複数箇所の脱毛を生じる病気です。進行すると、円がつながって脱毛範囲が広くなり、全て抜けてしまう場合もあります。
少しずつ抜けていくのではなく、一気に円形に脱毛が生じる点がAGAとの違いです。
脂漏性皮膚炎
脂漏生皮膚炎は、女性に比べて男性に多く、頭皮や顔を中心に「フケ」のようなものが出る皮膚の病気です。
症状の1つとして脱毛があります。毛穴の炎症や、痒みで引っ掻いてしまうことが原因で毛が抜けると考えられています。
毛が抜けても生えてくる点が、AGAとの違いです。
甲状腺や副腎の異常
甲状腺や副腎から分泌されるホルモンの異常で脱毛が起こる場合もあります。
全体的に脱毛が生じて薄くなるのが特徴です。
原因疾患の治療をすることで、髪の毛は生えてきます。原因の見極めが大切です。
クリニックプラスでの男性型脱毛症の診療の流れ
①問診
症状などの病歴について話を聞きます。LINEの事前問診にお答えいただくと、診療がスムーズに行われます。初回のご予約は皮膚専門外来からご予約をおとりください。(自費診療 AGAは再診の方のみご予約ください。)
②診察
患部の診察を行います。皮膚疾患の診断は視診が重要です。医師が丁寧に診察を行っていきます。
③検査
フィナステリドやデュタステリドの内服治療をする場合は事前に採血を行います。採血で異常が見つかった場合は内服治療が出来ないこともあります。その場合でもミノキシジルの外用治療は可能です。
④治療
ご本人の症状と治療希望を鑑み、適切な治療方法を医師と相談して選択します。治療前には同意書にサインを頂きます。
男性型脱毛症(AGA)はごくありふれた疾患です。当院では対面診察の他、完全オンライン診察(ヘアーズ)も導入しており、定期的にクリニックを受診するのが難しい方でも治療を継続できます。
→ヘアーズにご興味のある方はこちらもご覧ください。
お悩みの方はぜひ、医療機関で行える発毛治療を受けてみてください。ご相談をお待ちしています。