・更年期障害とは?
一般的に女性が閉経を迎える45歳~55歳の間を「更年期」と呼びます。更年期では、閉経に伴い女性ホルモンである「エストロゲン」の分泌が急激に減少することで、自立神経の調節がうまくいかなくなったり、心身の不調が起こりやすくなり、日常生活に影響が生じてしまう状態を更年期障害と言います。
・どんな症状が出ますか?
更年期障害の症状は人によって様々ですが、おもな症状は以下のようなものになります。
- 肩こり
- 疲れやすい
- 頭痛
- のぼせ・ほてり・発汗
- 腹痛・腰痛
- 不眠
- イライラ
- ドキドキ(動悸)・息切れ
- うつ状態・不安感
- めまい
自分が更年期障害に該当するかをチェックする簡略更年期指数(SMI)というのがあります。
- 顔がほてる
- 汗をかきやすい
- 腰や手足が冷えやすい
- 息切れ、動悸がする
- 寝つきが悪い、または眠りが浅い
- 怒りやすく、すぐイライラする
- くよくよしたり、憂鬱になることがある
- 頭痛、めまい、吐き気がよくある
- 疲れやすい
- 肩こり、腰痛、手足の痛みがある
上記10項目それぞれ症状が強い場合は10点、中くらいの場合は6点、弱い場合は3点、全く無い場合は0点として、合計点を計算します。合計点が51点を越える場合、治療適応のある更年期障害と判断します。
・どのような検査を受けるのですか?
更年期障害を診断する場合は除外診断と言って、症状の原因となるその他の病気がないかを検査で調べていき、病気がないと判明した時に、簡易更年期指数が高ければ更年期障害を疑います。除外診断のために当院で行う検査としては、以下のようなものがあります。
- 心電図検査
- 超音波検査(心エコー・甲状腺エコー)
- 血液検査
・どのような治療がありますか?
更年期障害の治療としては、漢方薬を用いた治療や、うつ・不安感といった症状には抗うつ薬や抗不安薬といったお薬を用いた治療がありますが、当院でオススメしているのはプラセンタ皮下注による治療です。
プラセンタとは、安全なヒトの胎盤を原料とした注射薬で、アンチエイジングなど美容の分野でもよく使用されています。更年期障害の方は、プラセンタによる治療を保険診療で受けることができます(※1)。週3回を目安に2ml皮下注射することで、更年期症状の改善が期待できます。ただし、注射をやめるとまた症状が再燃してしまう可能性があるので、基本的には更年期症状がでると言われている1~5年くらいの投与を推奨しています。
※1 保険診療の対象は45歳~59歳の方のみになります。また、保険診療の対象になるのはプラセンタの中でも「メルスモン」という種類のみになります。2023年11月時点でメルスモンは出荷調整中につき、手に入りにくくなっております。院内にメルスモンの在庫がない場合には、「ラエンネック」というプラセンタで代用する場合もございます。効能等はメルスモンと変わらないですが、ラエンネックは保険診療の対象とはなりませんので、自費診療でのご案内となります。あらかじめご了承ください。
当院では自費でのプラセンタ治療も提供しております。→自費診療 美容皮膚診療をご参照ください
・プラセンタは安全ですか?副作用はどのようなものがありますか?
原料がヒトの胎盤ということでご心配される方もいらっしゃるかと思いますが、医療機関において、胎盤提供者の1人1人について、ウイルスや細菌の検査を実施し、陰性であることが確認された健康人の胎盤のみを原料としています。また、製造工程でウイルスや細菌の不活化の処理も行っており、ホルモンやタンパク質なども含まれておりません。これまでプラセンタによる治療を受けた方でウイルス感染やクロイツフェルト・ヤコブ病(狂牛病)感染を起こしたという報告もありません。
副作用としては、注射部位の疼痛や発赤、悪寒、発熱、発疹などの報告があります。
また、プラセンタの注射を受けた方は、献血ができなくなりますので、あらかじめご注意ください。また、臓器提供も原則控えていただいておりますが、どうしても必要な場合は、臓器移植希望者が移植医から適切な説明を受けた上で、提供を受ける意思を明らかにしている場合の提供は可能です。
・更年期障害が疑われた方の当院での診療の流れ(診察所要時間目安: 7〜10分)
1 問診
まず普段から認めている症状としてどのようなものがあるか、診断・治療に必要な情報を集めるために、医師がいくつか質問します。(LINEの事前問診にお答えいただきますと、よりスムーズな診療を提供できますので、ご協力ください。)
2 身体診察
更年期障害以外の病気が隠れていないか、丁寧に診察を行います。
3 検査
各症状から疑われる更年期障害以外の病気をスクリーニングするための検査を行います。血液検査や心電図検査、超音波検査などがこれに該当します。
4 治療のご案内
漢方薬などのお薬の治療や、プラセンタによる治療などご案内させていただき、それぞれに合った治療をご提供します。プラセンタの注射は週3回を目安に通院いただきますが、特に問題がなければ2回目移行は医師による簡単な診察と注射のみで、所要時間は3分程度になります。