風邪とは?
風邪とは、ほとんどの場合、自然と良くなるウイルス性の上気道感染症のことを言います。
風邪を引き起こすウイルスは200種類以上あると言われており、そのほとんどは医療機関では同定できません。
風邪は一般的には1週間程度で自然と治りますが、気管の炎症が長引いて咳だけが3〜4週間続くこともありますし、免疫が低下したところで、細菌に二次感染することもありますので侮ってはいけません。
風邪の症状とは?
風邪の3症状は、①鼻水 ②のどの痛み ③咳 です。
この3つの症状が急に同時期に同程度存在する場合を、典型的な風邪と言います。
鼻水の症状が強く出るタイプの方もいれば、喉の痛みの症状が強く出るタイプの方もいます。
大切なのは、風邪の陰に隠れている別の病気を見つけられるかどうかです。
症状が長引いたり、別の症状が出てきたりなど、お困りの際はいつでもご相談ください。
風邪と鑑別を要する病気と特徴・見分け方を、症状別にご案内します。
鼻水がメインの場合
◆アレルギー性鼻炎・季節性鼻炎(花粉症など)
◆副鼻腔炎(細菌性 or ウイルス性)
鼻水がメインの場合、見逃して大きな問題になるような病気はありませんが、大事なのは感染性か非感染性か、また感染性であれば細菌性かウイルス性かを見極めることです。
感染性であれば、鼻水以外にも咳やのどの痛みを一緒に訴える方が多いです。
細菌性かウイルス性かを見極めるには、1つは鼻水に粘り気があり、色が黄色に近いと、細菌性の可能性が出てきます。また、一度発熱が起きてから、3日くらいして良くなったのに、その後数日してからまた鼻水が悪化し熱も出てきたという二峰性(にほうせい)の経過を認めるようであれば、細菌性の可能性が高いです。
ウイルス性には抗菌薬は効きませんが、細菌性には抗菌薬が効果を発揮します。
ただ細菌性には必ずしも抗菌薬が必要というわけでもなく、特に副鼻腔炎のような体表に近い部分での細菌感染は、抗菌薬なしでも自然に治ってしまうことが多いのが現状です。
もちろん、重症化してしまう場合もありますので、まずは医療機関を受診することをお勧めします。
喉の痛みがメインの場合
◆咽頭炎(細菌性 or ウイルス性)
◆急性喉頭蓋炎(きゅうせいこうとうがいえん)
◆扁桃周囲膿瘍(へんとうしゅういのうよう)
◆大動脈解離(だいどうみゃくかいり)
◆心筋梗塞(しんきんこうそく)/狭心症(きょうしんしょう)
◆くも膜下出血(くもまくかしゅっけつ)
◆亜急性甲状腺炎(あきゅうせいこうじょうせんえん)
◆伝染性単核球症(でんせんせいたんかくきゅうしょう) 別名:キス病
代表的なものを挙げましたが、一番頻度が多いのは咽頭炎で、細菌性であれば抗菌薬治療の適応になります。
のどの症状の場合、大事なのは命の危険にさらされる病気が隠れている可能性があるということです。
のどの痛みが強すぎて、食事もとれない、つばも飲み込めないといった症状を認める場合は注意が必要です。
また、のどが痛いのにのどの病気ではなく、血管や心臓、脳の病気の可能性があるというのも重要なポイントです。
上に挙げた病気はほんの一例で、のどの症状の鑑別は多岐に渡ります。
まずは、医療機関を受診して医師に相談しましょう。
咳がメインの場合
◆気管支炎/気管支炎後咳症候群
◆肺炎
◆後鼻漏(こうびろう)
◆咳喘息
◆結核
◆百日咳
◆胃食道逆流症
◆肺がん
◆薬剤性
咳がメインの病気で最も多い疾患は気管支炎です。
90%以上がウイルス性で、いわゆる風邪の一型ととらえられることが多いですが、5〜10%でマイコプラズマやクラミジア、百日咳菌といった特殊な菌が原因になる場合もあります。
また、気管支炎とよく鑑別を要する病気として肺炎があります。
特に38度以上の発熱を伴う場合は、肺炎の可能性も考えなくてはなりません。
また、3週間以上咳が続くような、いわゆる慢性咳嗽をきたす3大原因として、咳喘息・後鼻漏・胃食道逆流症がありますが、日本ではまだまだ結核も慢性咳嗽の原因として多い病気に挙げられます。
慢性咳嗽を認めるような場合には、胸部レントゲン検査、場合によってはCT検査を行い、しっかり診断につなげる必要があります。
当院では、これら画像検査は行えませんが、お近くの画像専門クリニックを紹介の上検査することが可能ですし、必要あれば、速やかに呼吸器専門機関をご紹介することが可能です。
風邪で来院された方の当院での診療の流れ(診察所要時間目安:5〜7分)
1. 問診
どのような症状がメインの風邪か、いつからどのくらいの期間症状が続いているかなど、診断・治療に必要な情報を集めるために、医師がいくつか質問します。
(LINEの事前問診にお答えいただくと、よりスムーズな診療を提供できますのでご協力ください)
2. 身体診察
のどが腫れていないか、呼吸の音に異常はないか、など、医師が丁寧に診察を行います。
3. 検査
医師が必要と判断した場合には、検査を行うこともあります。当院で行える検査は以下になります。
◆血液検査
◆尿検査
◆心電図
◆超音波検査
◆血中酸素飽和度測定
◆各種培養検査(血液・尿・喀痰・便など)
◆溶連菌迅速検査・RSウイルス迅速検査・アデノウイルス迅速検査
4. 処方・点滴
多くの場合は、医師に処方された薬を飲んで数日経過をみることになります。
重症感が強く、点滴の治療が必要と判断した場合は、点滴治療を受けることも可能です。
薬を飲んでも症状が改善しない場合は、再度受診ください。
風邪以外の病気も考えられますので、当院でより詳しい検査を行うか、あるいは、専門の医療機関をご紹介することもあります。