急に体重が増えた、体がむくむ、そんな症状はありませんか?心臓の右側の働きが悪くなることで起こる右心不全(うしんふぜん)では、全身をめぐった血液が心臓に戻りにくくなることから、体重増加やむくみの他、さまざまな症状が現れます。特に左心不全(さしんふぜん)のある方では、右心不全を併発しやすいため注意が必要です。右心不全は比較的ゆっくり症状が出るため、変化に気付きにくいことがあります。ここでは右心不全の特徴や治療、日常生活での注意点について解説します。
右心不全とは
まず初めに、右心不全の特徴や原因、症状について解説します。
心不全とは
心不全は「心臓が止まってしまった状態」と思われがちですが、そうではありません。心不全は、何らかの原因によって心臓の働きが弱まり、体に十分な血液を送ることができなくなってしまう状態のことをいいます。そのためにさまざまな症状が現れます。
右心不全と左心不全
心臓は右心房(うしんぼう)、右心室(うしんしつ)、左心房(さしんぼう)、左心室(さしんしつ)の4つの部屋に分かれています。右心不全は心臓の右側にある右心室の働きが悪くなってしまうことで起こる心不全です。
左心室の働きが悪くなることで起こる心不全は左心不全といわれます。右心不全と左心不全の症状は、それぞれ単独で起こることもあれば、同時に起こることもあります。同時に起こった状態のことを両心不全といいます。
右心不全の原因
右心不全の原因となる病気には次のようなものがあります。
・先天性の心臓病
・心筋梗塞(しんきんこうそく)
・肺高血圧症(はいこうけつあつしょう)
・心筋炎(しんきんえん)
・弁膜症(べんまくしょう)
・慢性肺疾患
また、加齢によって心臓の筋肉がかたくなり、心臓から血液を送り出すポンプ機能の働きが弱まることも原因の1つとなります。高齢の方は心不全を起こしやすく、症状があっても「年齢のせい」と考えて放置してしまうことも多いため注意が必要です。
右心不全の症状
右心室は全身をめぐった血液が戻ってくる場所です。戻ってきた血液は、右心室から肺に送り出されます。右心不全では肺に血液を送り出すことができなくなるため心臓に血液がたまってしまいます。そのせいで心臓に戻ってくる血液を受け入れることができず、全身に血液がたまってしまう状態になります。その結果、次のような症状が出ます。
・体重増加
・浮腫(むくみ)
・肝臓の腫れ
・首の静脈に血液がたまる
・胸水
・腹水
・食欲不振
・吐き気
むくみは特に体の下方である足に起こりやすいため、足を指で押してへこみ具合をチェックすることでむくみの症状が出ているかが分かります。症状の現れ方は左心不全に比べるとゆっくりであることが多く、症状をなかなか自覚しにくいことがあります。右心不全の原因となる心臓の病気がある場合や、すでに左心不全と診断されているような場合は右心不全を併発しやすいため、これらの症状がないか日常の中でよく観察していくことが大切です。
右心不全の検査と診断
右心不全は症状の聞き取りに加えて、次のような検査を行って診断します。
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聴診‥心臓に雑音がないか、呼吸の音は正常かを確認
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心エコー検査‥心臓の機能の評価、右心不全の原因となる病気がないかの確認
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胸部レントゲン検査‥心臓が大きくなっていないか、胸水が溜まっていないかの確認
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血液検査‥心不全になると高くなるBNPという値を調べます
右心不全の治療
右心不全の原因となっている別の病気がある場合には、その病気の治療を行います。同時に次のような薬を使って右心不全の治療を行います。
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利尿薬‥血液の流れが滞るうっ滞という状態を改善し、むくみなどの症状を取ります。
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強心薬‥心臓から血液を送り出す働きを補助します。
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β遮断薬(ベータしゃだんやく)‥心臓への負担を減らします。
右心不全の悪化を予防するために
右心不全は完全に治ることはありませんが、悪化させないようにすることはできます。右心不全の悪化を防ぐため、日常生活の中では次のようなことに注意してください。
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処方された薬は忘れずに飲む
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塩分制限
塩分を摂りすぎると体の中に水分がたまりやすくなり、心臓に負担がかかります。塩分は1日6グラム以下におさえましょう。
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水分制限
水分摂取は体にとって重要ですが、摂りすぎることで心臓に負担がかかってしまいます。どの程度水分を摂ってよいかについて、主治医に確認するようにしてください。
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適度な運動
心臓に負担がかからない程度に、適度に体を動かすことは大切です。適切な運動量についても主治医と相談して決めるようにしましょう。
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禁煙
タバコを吸うと血液が固まりやすくなり、右心不全の原因となる心筋梗塞の発症リスクが高まります。心不全に限らず心臓の病気がある方では禁煙は必須となります。
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体重、むくみのチェック
右心不全の主な症状に体重増加とむくみがあります。1週間に2キロ以上体重が増えた、足を指で押すとへこんだまま戻らないなどの症状が出た場合にはすぐに受診するようにしましょう。
クリニックプラスでの右心不全の診療の流れ
①血圧や脈拍、血中酸素飽和度の測定
受付を済ませた方は看護師が声をかけますので、血圧や脈拍、血中酸素飽和度を測定させていただきます。これらの値に異常があると、心不全が増悪している可能性があります。
②問診
症状の有無や生活習慣などを聞きます。初診の方からは基礎疾患の有無や嗜好品の有無、家族歴についても聴取します。
③身体診察
聴診器を用い、心臓の音や呼吸音に異常がないかを確認します。その他、足に浮腫みがでていないかなど、医師が丁寧に診察を行います。
④検査
必要に応じて採血検査や心電図検査、心臓超音波検査(心エコー検査)などを行います。心エコー検査は心不全を診断するにあたってとても重要な検査です。心エコー検査にかかる時間は5分程度で、心不全の状態をその場で評価し、結果をお伝えすることができます。
⑤薬の処方及び生活指導
外来診療で治療が可能と判断した場合、心不全の治療薬を用いて、治療を行っていきます。また、心不全の管理をする上で、塩分制限や水分制限が非常に重要です。日々の塩分・水分摂取量のコントロールや体重測定などの指導を行っていきます。
⑥専門病院への紹介
酸素の投与が必要な方や、点滴での治療が必要な方は、専門的な入院加療がうけられる、大学病院や総合病院へ紹介します。クリニックプラスは多くの大学病院や総合病院と連携をとっておりますので、速やかに紹介することが可能です。
右心不全は定期的に通院を行い、適切な投薬加療と生活管理を行っていくことで、症状を抑えていく事ができます。クリニックプラスでは、循環器内科専門医による診療を受けることができます。また、平日は夜の8時まで、さらには土日祝日も毎日営業することで、通院しやすい体制を整えています。右心不全でお悩みの方はぜひ一度相談に来てください。