クリニックプラスでは、粉瘤を摘出する外科的治療は行っておりません。あらかじめご了承ください。
体に半球状に盛り上がった「できもの」が生じて、気になっているという方はいませんか?ニキビと違って自然と消えてなくならないのであれば、それは粉瘤(ふんりゅう)かもしれません。
ここでは、粉瘤やその治療法、見た目が似た皮膚疾患について紹介します。
粉瘤とは
まずは、粉瘤という病気について解説します。
粉瘤は皮膚腫瘍の一種
粉瘤は、皮膚の下に袋のような構造をした嚢腫(のうしゅ)ができたもので、良性の皮膚腫瘍の一種です。
粉瘤は、角質や皮脂など、皮膚から自然に剥がれ落ちるはずだったものが袋の中に溜まることで生じます。1つだけできることが多いですが、多発性毛包嚢腫と呼ばれるタイプでは数十個の病変が生じます。
半球状にかたく盛り上がり、頂上付近に穴(袋の入り口)があるのが特徴です。体中のあらゆる箇所にでき、通常痛みはありません。粉瘤の中で感染が起こったときには、膿が溜まったり痛みを感じたりします。
粉瘤の診断方法
多くの場合は視診のみで診断できます。できものが急激に大きくなっている、同じ部位で炎症を繰り返している、深くまで達しているような場合などは、超音波検査(エコー)やCTで検査することもあります。
粉瘤の原因と治療法
粉瘤の原因と治療法について解説します。
粉瘤の原因
はっきりとした原因はわかっていません。
擦り傷やニキビ、ウイルスによるイボなどがきっかけとなって、皮膚が内側に入り込み、粉瘤になる場合があります。ですが、ほとんどのケースで原因を特定するのは難しいです。
粉瘤になりやすい人
粉瘤は、角質や皮脂が溜まったものです。そのため、「不潔だから粉瘤になる」と考えている方もいますが、清潔にしていても粉瘤は生じます。
どちらかといえば男性のほうが粉瘤を生じやすく、何度も粉瘤ができる方は体質的な問題が大きいでしょう。粉瘤の予防は難しいといえます。
粉瘤ができたあとに、早めに対処することが大切です。
粉瘤の治療法
粉瘤は、手術で皮膚の下の嚢腫ごと摘出することが多いです。くりぬき法という、より簡単な手術もありますが、傷を縫い合わせずに治癒させるため、完治までの時間が少し長くかかります。粉瘤の大きさにもよりますが、たいていは局所麻酔で日帰りの処置が可能です。
※クリニックプラスでは、上記の粉瘤を摘出する治療は行っておりません。
炎症が起きている場合は、はじめに抗菌薬の内服などをおこなって炎症を落ち着かせてから手術をします。炎症によって痛みや腫れの症状が強い場合には、表面を切開して膿を出す処置だけ先に行う場合もあります。
「目立たない場所なので処置を希望しない」という場合は、それでもかまいません。治療をするかどうかについてはご相談ください。
粉瘤と似た皮膚疾患
粉瘤と区別の難しい皮膚疾患もあります。
脂肪腫
脂肪腫は粉瘤と同じ良性腫瘍の一種ですが、粉瘤が皮膚と一体化したものであるのに対し、脂肪腫は皮膚とは独立して存在します。
脂肪腫は皮膚の深い部分にあるため、皮膚の表面からは色調の変化はありません。基本的に痛みなどの症状はなく治療も不要ですが、大きくなってからの処置では傷跡が残りやすいことや、神経や血管に触れて痛みが出るようになる可能性があることなどから、早めに摘出するのがおすすめです。
せつ(おでき)
「せつ」は、感染性の粉瘤と見た目が似ている、毛穴の感染症です。はじめのうちから「しこり」のような固い感触があり、3〜5日ほど経過すると赤く腫れて膿が出てくる点がニキビと違います。
黄色ブドウ球菌、表皮ブドウ球菌などの細菌が原因で、ごく軽い状態であれば清潔に保つだけで自然に治癒する可能性もありますが、悪化してしまうと抗菌薬を含んだ外用薬を用いるか、内服抗菌薬で治療が必要です。
ガングリオン
内部にゼリー状の液体が溜まったしこりで、関節周辺に生じやすいです。女性に多い病気で、とくに痛みなどの症状はありません。ガングリオンが大きくなり神経を圧迫するようになると、動かしにくさや痺れを感じることがあります。
化膿性汗腺炎
汗を分泌する汗腺に炎症を起こす病気です。20〜40代に多く、汗をかきやすい部位に赤いできものがいくつも発生します。感染症ではなく、人にうつることはありません。
初期の化膿性汗腺炎はあまり赤みを帯びていないこと、数が少ないことから粉瘤のようにみえることがあります。数が増えたり、赤みを帯びて膿がたまるようになったりした場合には、早めに皮膚科を受診しましょう。
化膿性感染炎はそのまま放置していると痛みを感じたり、膿が出るようになったりします。症状をコントロールするための治療薬がありますので、診断をつけることが大切です。
粉瘤ができたときの注意点
粉瘤ができたとき、意識してほしい行動について解説します。
自分で処置しない
膿が出て匂いがするような場合には、粉瘤を手で絞ったり針を刺したりして自分で処置してしまおうと考えるかもしれません。
ですが、きちんと膿を出しきれないと再発する可能性がありますし、針などから細菌が入り込み状態がさらに悪化することもあります。処置が必要な場合には受診してください。処置にかかる時間は10〜15分程度です。
早めの受診を
粉瘤は放っておいてもさほど問題はありませんが、大きくなってきたり、痛み・赤みを伴うようになってきたりした場合には受診してください。感染を起こしてからでは治療に時間がかかりますので、早めの対処が大切です。
粉瘤だと思っていたら別の病気だったという可能性もあります。できものが生じた場合には、一度診察を受けておくのがおすすめです。
クリニックプラスでの粉瘤の診療の流れ
①問診&診察
症状などの病歴について話を聞き、丁寧に診察を行います。LINEの事前問診にお答えいただくと、診療がスムーズに行われます。
患部の診察を行います。皮膚疾患の診断は視診が重要です。医師が丁寧に診察を行っていきます。
②検査
必要に応じてエコー検査やCT、MRIなどの画像検査を行います。
③治療
外科的切除が必要な時は専門病院へご紹介させていただくこともあります。当院は、多くの専門医療機関と連携をとっておりますので、スムーズにご紹介させていただくことが可能です。
粉瘤はごくありふれた疾患です。お悩みの方は、医療機関を受診することで、解決するかもしれません。クリニックプラスでは、皮膚科専門医の診療が受けられます。是非一度ご相談にいらしてください。