・心不全とは?
心不全とは厳密には病名ではなく、心臓の機能が低下することによって、身体に不具合が生じる病態のことを言います。心不全になると、息切れや浮腫み、全身倦怠感といった症状が出てきます。心臓の機能が低下してしまう原因として、狭心症などの虚血性心疾患や、不整脈、弁膜症、心筋症といった心臓の病気を始め、貧血や腎不全、甲状腺機能異常といった心臓以外の病気なども挙げられます。心不全を診断・治療するためには、心不全の原因が何なのかを明らかにし、原因となっている病気に対してアプローチしていくことが重要です。
・どんな症状がでますか?
心不全症状という言葉もありますが、「息切れ」や「浮腫(むくみ)」が心不全の症状にあたります。息切れには段階があり、「階段や坂道を上ると息切れがでる」であれば軽度、「近くのコンビニに行くのでも息切れがでる」ようであれば中等度、「自宅内のトイレ歩行などの日常動作や、安静時にも息切れがでる」までくると重度になります。また、心臓が原因の息切れの特徴として、寝ている体勢よりも、座っている体勢の方が息切れが楽になるという特徴があります。浮腫は、最初両足から始まることが多いです(片足だけという場合は、心臓以外の原因を疑います)。また、心不全による浮腫の特徴として、指で押した時に、指の跡がつく「圧痕性浮腫」というのがあります。
・どんな検査を行いますか?
当院で行える検査は以下の検査になります。
◆血中酸素飽和度測定
◆心電図検査
◆血液検査
◆心エコー検査
この中でも心エコー検査が、心不全の原因を調べたり、心臓の機能や心不全の状態を評価する上でも重要な検査になります。
・どんな治療をおこないますか?
症状が軽度であれば、利尿剤という尿を沢山出す薬で治療を行うことが多いです。その他心不全の原因となっている部分に対してアプローチしていきますが、場合によってはより詳しい検査やカテーテル治療などを行わないと適切な診断・治療に結びつかないことがあります。そういった場合には、大きな病院を速やかにご紹介いたします。
すでに心不全の原因が分かっており、薬の治療をされている方も、もちろん診ております。細かな薬の調整等は当院循環器内科専門医が対応致しますので、ご安心ください。
・心不全で来院された方の当院での診療の流れ(診察所要時間目安:7〜10分)
1. 問診
時系列にそって、どのような症状がいつから出現したかなど、診断・治療に必要な情報を集めるために、医師がいくつか質問します。(LINEの事前問診にお答えいただきますと、よりスムーズな診療を提供できますので、ご協力ください。)また、すでに心不全と診断されている方には、体重の著しい増加や心不全症状の増悪はないかなどを聞きます。
2. 身体診察
肺や心臓の音を聞いたり、足に浮腫がないか診察を行います。
3. 検査
診断がまたついていない場合は原因を調べるために、血液検査や心電図、心エコー検査等を行います。すでに心不全と診断されている方には、定期的に血液検査や心エコー検査を行い、心不全が増悪傾向にないかモニタリングします。
4. 生活指導および処方(中等度以上の症状がある場合は、大きな病院を紹介)
症状が安定しているあるいは軽度であれば、薬の治療で様子をみます。中等度以上の症状があったり、心不全の原因がはっきりしない場合や、心不全の原因の治療を速やかに行わないと、心不全のコントロールがつかないような場合は、提携している大きな病院をすぐにご紹介させていただきますので、そちらで更なる検査と治療を受けていただきます。
また、水分や塩分の摂りすぎは、心不全の増悪の原因になります。日々の生活で、水分・塩分制限がしっかりできているか、生活指導も一緒に行なっていきます。